百姓シゴトのご褒美は『のんびる松前』

田んぼの畦や河原の土手に自生している野蒜(ノビル)は春になるとニョキニョキ出てくるネギ属の多年草だ。古代からニンニク、ニラ、ネギ、ラッキョウと共に五葷(ごくん)に数えられ食用にされてきた植物だが、ナゼかコレだけは人為テキに栽培されることがなくセッセと摘みに行かなければならない。 
葷(くん)ネギ属の古語


…とは2010年の3月末に記述した日記の冒頭部分である。その「野蒜」は『トルティージャ』や『松前漬』にして食したわけで、とっても美味しい春の野草なんだけど昨年一昨年と逃していたのだな、不運なのかズボラなのかは追求しないで欲しいけど。
今年は母君が管理している当家の菜園の土起こしなんてことをナゼかやってしまい、セッセとその作業に勤しんでいる間に母君が畦に出てきた野蒜を収穫してくれていたのだな。ボンクラなエロおやぢは鋤の上げ下ろし百姓シゴトに夢中で美味しいそいつに気付かなかった…ってことさ、有り難いことですね、まったくもってご褒美みたいなものですよ。
哀愁のイナカ町の人々は野蒜のことを「のんびる」と呼ぶ。昔はそーゆー呼び方を(イナカ臭くてヤだなあ)なんて思っていたけれど、齢をとったせいか(それも悪くはないよね)てなカンジに肯定派となりつつある。その語感がなんとなくのんびりしていて春ウララっぽいところがいいのかな。
さて今年はやっぱり松前漬仕立てにして「のんびる」を楽しんでみたのよ、こいつがイチバンだぜ!名づけて『のんびる松前』…ってそのまんまか。

漬け込んで翌日には食すことが可能だけれど、美味しさのピークは二日後くらいか。「のんびる」そのものが持つネバリも加わった松前漬はより一層その粘度を増して(あぁ永遠にクチの中でもぐもぐしてたいなあ)みたいな旨味を濃厚に紡ぎだす。そして歯応えや香りが心地よい刺激となって疲れたカラダや脳味噌を覚醒してくれるのだ。白ゴハンにドバッとのっけてあぐあぐ掻き込むのは天国だけれども、こいつを少量つまみながら飲る日本酒がまた堪らない。飲み過ぎちゃって困るのよ…と言いつつそうなることを予測して酒を一本余分に購入していたバカ者がここにいるのだな。




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