三度目の正直『ヴィラ・アフガン』

ウワサは何度も聞いていた。八ヶ岳の麓・大泉に英国風カレーの名店があり、しかもかなり美味しいと…

ミゴトに天気予報は外れ突然の雪に戸惑いながらもお店には到着した。大きな幹線道路からは離れた位置にあるのだが迷うコトはなかったのね。それもそのハズ、今まで二度もボクはココを訪れていたのだから。
いづれも店先に溢れ返らんばかりのウェイティングにスゴスゴと諦め帰ったボクは「いつか必ず…」とリベンジの炎を燃やし続け、オフシーズンのこの時期ならばと昨日の八ヶ岳高原行きを決意したのだ。
正午すぎに到着したにもかかわらず悪天候のためか先客は数組…店員さんも駐車場や店舗入り口の雪かきにアセを流していた。
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外気温はマイナスだが店内はしっかり暖房が効いていて、温かい料理はさぞかし美味しく感じるに違いない…と想いつつ空きっパラを抱えたボクはシックな店内の席に案内されメニュウを広げた。
カレーの辛さやゴハンの量が数段階に指定できるようになっているのもそうだし、カレーの種類の多さが意外だったのね。というのは、同じ専門店でもエコノミーなクラスでは提供スピードと共に選択肢の多さをウリにしている場合が少なくないが、こうしたお店の場合は“本日のオススメ”みたいなメニュウのホカには数種類あるのみ…というケースがほとんどだからだ。
ちょっと驚きながらも必死にカレーのトッピングの文字を眺めてはアレコレと想像をめぐらし、満足を求めるこの瞬間が楽しいワケなのであるが。

奥サマが注文したのは「ベーコンエッグカレー」。ごはんを覆う巨大なサイズのベーコンは以前に食べたROCKのベーコンがバラ肉であったのとは違いモモ肉をハム状に加工したもので、コクのあるカレールウにはシツコくない脂がピッタリかもしれない。
最初はどうやって食べたものかと困っていた様子だが、食べやすい大きさにナイフでカットしてしまってルウをかけイッキに頬ばるコトに気づき、ちょっとヨユーを持って味わうコトが出来たようだ。
もちろんルウは別添えのツボに入れて提供されるので各人のお好みの食べ方をしてよいのではあるが、ダイナミックな盛り合わせにはワイルドな食べ方が似合うような気がする。

ボクは「和牛スネ肉煮込みカレー」をお願いした。何食とは謳ってはいないが“限定”とされており、仕込みの関係などである程度出たらお終い…という献立なのだろう。タマタマの天候不順でお客さんの数が少なかったからこそ間に合ったようで、普段ならとうに売る切れてしまっている人気メニュウが食べられたのは幸運この上ないコトなのである。
キャセロールにルウとともに入れられて煮込まれフライドガーリックをトッピングしたスネ肉はオトナのゲンコツほどの総量があり充分なボリューム。よく練り上げられた美味しいカレールウに赤ワインやデミグラスソースの旨みや香りが加わり、やはりと云うべきかワンランク上のお味に仕上がっている。

ふわふわトロトロに煮込まれた肉塊にナイフの必要はなく、ゴハンの上でフォークでほぐしてはルウと混ぜながらクチに運ぶとリッチな味わいが高濃度に拡がる。
脂の旨み、そしてパサつきのない肉質など「サスガに和牛っ!」と褒め讃えずにはいられない美味しさで、胃袋さえオッケーを出すならば永遠に食べ続けたい欲望がモリモリと湧きあがってくる。
ルウの辛さ指定は“やや辛”にしたが、レトルトカレー的な基準でいくと大辛または辛口となるのだろうか、フツーのヒトには少し辛めに感ずるかもしれないが、ボクにとってはドンズバの加減でコレ以上も以下もない大当りに遭遇した気分なのね。
次第に天候が回復してきたせいか、気がつけば周囲を見回すと満席に近い状態になっていた。お若い方々からかなりのご高齢者までがココのカレーを楽しみに来ているようで、誰からも愛される英国風カレーとして評価が高いジジツが証明されている。
一部にゴハンがパサついていてマズいなどの批判もあるがボクは決してそうは思わない。あのネバリの少なさと水分の塩梅がココのカレーを名品たらしめている…と考えるのだ。



ヴィラ・アフガン
山梨県北杜市大泉町西井出8240-3510
TEL=0551-38-3148
ACT=11:30〜14:00,17:00〜19:00
火曜定休(祝日は営業・翌日休)