『とろろ汁』はナゼ旅人を癒すのか


東海道を西に進めば駿府宿から安倍川を超えて一里ほど、東進ならば岡部宿(現在は藤枝市)から宇津ノ谷峠を超えてこれから安倍川の河川敷に向かう…という位置に丸子宿がある。その昔は“鞠子”と表記していたようで東海道五十三次ならば江戸を出て二十番目に当たる宿場町なのだな。
気まぐれで突然そんな所に行こうと思い立ったワケではなく、もう一年も前からソコに行く計画がヒソカネリネリされていて、この春ようやくジッコーに移す次第が整ったのである。そのココロとは“日本で二番目に大きなたい焼”を食すと云うものであって、詳細顛末は梅成弟子丸氏のブログをご覧になっていただくとしよう。
あまり季節とはカンケーのないたい焼とは云うものの「どーせ行くんなら丸子宿の梅園でも楽しんでよぉ…ってぇところが人情ってもんでさ」と急にゲスなコトバになってしまうのは宿場町というイメージが時代劇に登場する博徒や物売りに結び付きやすいからなのか。

そしてヒトは動けばハラも減るのであって、やはり「どーせソコまで行っちまうんだったらさ、やっぱり丁子屋のとろろ汁はハズせないじゃん♪」なのである。遠来の友人をもてなすには格好のステージだし、ボク自身も十数年ぶりに訪れるお店なので楽しみなのだな。
創業は慶長元年(1596年)と云うから江戸時代の直前つまり安土桃山時代末期というとてつもない歴史を有するお店である。観光バスがど〜んと横付けされてアジア諸国の観光客がワサワサ訪れるようなお店であっても、とろろ汁と共に食す麦めしはキチンと「おひつ」で提供されるスタイルには文化とプライドと云うものを感じる。


定食は6種類ほどあってお値段もピンキリ、我々は下から二番目の「つたの細道」¥1700という定食をお願いした。とろろ汁に麦めし・たたみ鰯の入った味噌汁・刺身・お新香・小鉢などがセットになっていて、どうもコレが一番CPが高そうではないかと踏んだのである。

どのひと品も良く出来た料理であってジツに美味い。たたみ鰯を忍ばせた味噌汁などちょっと気が利いていて駿州らしいではないか、ここに老舗のワザと流石とウナる心意気というものがある。
麦めしにとろろ汁をかけザバザバと食すのが定番だ。しかしコレに鮪の刺身が加わるととびっきりな一膳になるのだな。まあ鮪の山かけをめしにぶっかけて喰うのと一瞬同じように思われるかもしれないが、ダシ汁でのばした自然薯を使ったものなので一味二味どころのハナシではなくステージの全く違う料理が成立しているのだ。山の幸と海の幸の絶妙なカップリングをサラリと行っているところが静岡らしく素晴らしい。
こんな食事をするならば宿泊者達は長旅の疲れが癒され明日への鋭気も養われるというものだ。ムカシから山芋は滋養強壮精力増進のシンボルのひとつであったが、全国各地イナカを旅すれば必ず登場するこのとろろ料理とはいかなる効用があるのかをちょっと調べてみたりもした。


イモ類の澱粉質は加熱しないと消化が悪く生で食べることは出来ないが、山芋はその澱粉質の分解酵素であるジアスターゼを大根の3倍も含んでいる上、糖質分解酵素のアミラーゼも含有するため生で食すことが出来る…というより加熱しない方がその効能が高い。
しかも麦めしは白米飯に比べ栄養価は高いものの若干消化がよくないというデメリットがあるが、とろろをかけて食せばこれらの消化酵素が働きその消化と栄養吸収が促進される…という都合の良過ぎる組み合わせだったのだ。すりおろすコトによって細胞が破壊されその消化酵素が浸出するのでより消化が良くなるというから「イナカなんでよぉ、こんなとろろ汁と麦めししかないもんだでなあ…」というパッシブな理由ではなく、レッキとした健康理論がそこに介在しているのである。

また山芋には「山うなぎ」という別名もあり、それはともにヌルヌルしていて食べると“精がつく”(と言われる)共通点がある。ヌメリの正体はムチン質でオクラやナメコなどヌルトロ系食品に含まれる物質だ。蛋白質分解酵素を含み粘膜修復作用があるので各種栄養素の消化・吸収が促進され、エネルギー変換効率が上昇する。つまり胃腸が弱り体力が低下している旅人にはうってつけの食材なのだな。
最新の研究では粘液成分の一つであるデオスコランに血糖値を下げる働きが発見され、食後血糖値の急激な上昇が起こりにくい…イコール内臓の負担が小さくて済む、食物繊維による便秘の解消、腸管でのコレステロール再吸収ブロック、含有カリウムはナトリウムの排泄を促進し降圧作用を持つ…などイイコトづくめの栄養食品だ。
そんな山芋にもいくつか種類があって、日本原産の自然薯は特に栄養価が高い。脂質・無機質・ビタミン類・タンパク質・エネルギー…全てに於いてナガイモやヤマトイモに比べ数倍の数値を有している。

ムカシは野山に自生している自然薯を丹念に探し掘り起こすしかなかったものを、この丁子屋のご主人が人工栽培に成功し、こうして多くの方々に供与出来るようになったという功績は勲章モノではないか。もっと感謝しつつ食さなくてはならなかったなあ…とぷちハンセーを今ごろしているエロおやぢである。
そんなコトも知らずハッピーにとろろ汁を食べ終えた我々は、この日のメイン・イベントであるたい焼部活に向かうためにユルユルと丁子屋さんをアトにするのであった。



元祖 丁子屋
http://www.chojiya.info/jp/



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丁子屋さんの前で
歩道に瓦が埋め込まれ、実用と美しさを兼ね備えた路がありました



Afternoon, March 05. 2011. @Mariko-InnTown











かぶちゃん
こんてぃわ〜!
早く静岡おいでよ! 間違いなくココに連れて行ってあげるからさ(笑)
桜海老とシラス喰って、ウナギ喰って、トロロ喰って、マグロ喰って、朝霧牛ステーキ喰って… う〜ん、そんなに精つけてどーすんだよ!なんだけどねえ(´▽`*)アハハ
梅成さんが言ってるのはね、多分そーゆー料理じゃなくって、トロロをのばす時のだし汁がカレー風味になってるってヤツだと思うんだな。きっと食べた時に「コレって美味いのか、それともマズいのか/(-_-)\」ってずっと悩みそーだけどね(笑)
なんだかフツーのカレーうどんが食べたくなってきました…



梅成弟子丸さん
こんてぃわ〜!
バチ当り…ってより、ただのバカでしょ\(≧▽≦)丿
うぉっほん、少々言いすぎました…シツレイ(笑) いや〜食べる前も、そして食べたアトもどう判断してよいものか…と悩みそうなメニューですな(´▽`*)アハハ
肉人には少々モノ足りなかったのではありませんか? ええ、エロおやぢにはジャストなお味と量でして。あの後にたい焼も食したのにモタレもせず、なおかつ夕方の空腹もなかったのはドチラも質が良かったという証拠ですな(*^−')ノ 
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ありゃま〜っ! ココって静岡グルメオールスターズじゃありませんか♪
ウナギにシラスに桜えび〜、ぜ〜んぶトロロでぶっかけだあ\(o^∀^o)/ でもって「ビーとろ」で肉人もちょ〜満足かな、こりゃ行くっきゃないでしょ…
麦とろ童子
http://popeye.mo-blog.jp/waraibuta/2010/09/post_023d.html

このおねーさんも行ってたんだあ…
http://ameblo.jp/sugitakaoru/entry-10495182399.html
しかし困ったなあ、行きたい店ばかりタマっちまってさ(笑)



Lotさま
おはようございます!
よい画が撮れることもあれば、どうしてもダメなときもありましてね(笑) きっと技術テキに未熟な部分が多いと思うのですよ、アトから「あ〜すればよかった、こ〜しておくべきだった」とハンセーの多い毎日であります。
でもこうして拙い画でも意図をくみ取っていただけるお方がいらっしゃるのは有難いことです、素直に喜んでいいですか?
調子にのって慢心しそー、コワいなあノ(´д`*)