戻れない道

プレミアム『青椒肉絲

ひとたびその悦楽を知ってしまうと戻れない道がある。
美しい楽曲とバンドのアンサンブル、そしてそこから生まれるグルーブはそうした活動を実践した者にしか体感出来ない精神の覚醒がある。絵画はまた違ったアプローチがあって、感情や意思を積み重ね考察とマチエールの接点或いは融合を追求する行為がヒトを快楽に導いてゆくのよ。

食の文化にもそうした部分があるはずなのであって、それはなにも高価な食材であったり稀有なものである必要は全くない。どこにでもある食材であっても鮮度や扱うヒトの想いや技術によってそれはすっかり変貌する。
そしてそれらが偶然に或いは恣意的に集められ、調理というプロセスを経てヒトのクチに入ってはじめてその評価が始まるところがエキサイティングでもある。どんなに慣れた料理であっても喫食者から「美味しい!」の一言があるまでは緊張もするし恐怖感さえ覚えることもある。だから上手くいった時の記憶をクロスワードパズルのように解明し、また新しい快感を創造してゆく希望が湧いてくるのだな。
なんだい、エラソなことを吠えまくっていても既製品の調味料かい…なんてバカにするなかれ。イチからテメーで調合するリスクより安定したベーシックを採るメリットもあるんだってば。それよりピーマンやパプリカの鮮度だったり、生キクラゲをチョイスしてくる目利きのほうが重要な気がしますけどね。


Mamiya  AUTO mamiya/sekor 2/50  @ SONY α7

それに加え今回は使用する豚肉の部位とカット方法も新しいアプローチで挑戦してみたのよ。いつもはバラ肉やロースを細切りしていたんですけどね“もも肉ひとくちカツ用”ってのを流用するってのもいいんじゃないか…てなことで、一般常識からするとかな〜り太めの肉カットなのですね。

ところがこいつがまたいい感じになりましてね、もっちり柔らかジューシー(う〜んドコカで聞いたことのあるようなセリフだけど)な豚肉がサイコーな青椒肉絲にしてくれるのだ。いや〜美味いったらありゃしない!プレミアム感マックスですよ。
まあねえ、ピーマンは当家の菜園で採れたピカピカ新鮮なやつだし、キクラゲも久能山東照宮献上品っていうランク、おまけにナマときたもんだ、美味い料理が出来て当たり前だとも言えるのね。
ただしこーゆーものをいちど食してしまうともう元には戻れない。ハンパな中華料理屋さんでは太刀打ちできないだろうし、高級中華料理店なら安心だけどそうそう利用は出来ないだろうしね。やっぱり鮮度のいい食材をガガッと集めてはテメーでキッチンの火炎に向かうのが手っ取り早いかもしれないな。
で、一期一会ってのは主人と客の関係を語ったものだろうけれど、料理人と食材の関係にもソレが言えるんじゃないかなあ…なんて食後のデザートを食しながらちょいと考えました。




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ハナトラノオ


しっかり咲き揃いましたよ
花言葉が「希望」とか「望みの達成」だって
もうそーゆーものに縁の遠くなった歳でもありましてねぇ
いやいや ひがみ根性みたいなものだけはパスしたいですよ



Nippon Kogaku  NIKKOR-S Auto 2/50  @ SONY α7