でらうみゃ~でかなわんわ(21)

大衆食堂の『カツ丼』

小牧市・食堂「ちかちゃん」

シゴト先での昼食は給食弁当だ。
現場事務所まで配達してくれるし、一食¥400と安い上にけっこー美味しくてボリュームもある。ナゴヤに来て以来その給食弁当を食す日は必ずスマホのカメラでその弁当の内容を撮影してあるのだけれど、簡単に真上からポンと撮ってるだけなので、どっちかと云えば記念写真みたいなものかな。まとめて発表する機会なんぞないでしょう。

ところがそのベント家さん(本当にそーゆーナマエの弁当屋さんなのです)はときどきチョンボをするのでありましてね、個数を間違えたり未配をやらかしちゃったり。まあミスは誰にでもあることなのでそんなに気にしてはいませんけど、その始末といいますか、シワ寄せは下っ端のボクにかかってくるわけでありましてねえ、その日も一個少なく配達されたお弁当は上司と元請けのカントクに優先権があるのですな。で、ボクね…どーするってゆうかと云うと、仕方なくコンビニなんかに買いに出かけるわけなんですね。イヤですよぉ、休憩時間は削られるわ出費はかさむわで。
ちぇっ、またかよ…と思い一番近いコンビニ目指してダンプを走らせるわけですが、途中(と云っても現場から出て1分もかからない場所)に「ちかちゃん」という食堂を発見したのだな。発見って云ってもほぼ毎日通っている場所なんだけど、あまりにフツー過ぎてぜ~んぜんメに入ってなかったみたい。
そういえばあったよなあ、このお店。大衆食堂って書いてあるけど、焼肉の文字も見えるし麻雀なんて看板も…ってことは二階は雀荘かい、いったいどんなお店なんでしょ。まっいいか、とにかく入ってみましょう。

来店客はソコソコ入っていて、ほとんどのヒトが「日替わりランチ」を注文している。この日は『カレーうどんorきしめん 目玉焼き+ごはん』のセットだった。
えぇ~っ?カレーうどんかぁ…食べてみたかったけど、なんだかその日はそんなキブンじゃなかったのは午前中のシゴトがキツくてアセダラになっていたのもあるかな。
そしてボクは壁に貼ってあるお品書きの中からキッパリと『カツ丼』を注文したのだ。前日の昼食にとてもファッティーなロース豚カツを食したばかりなのに『カツ丼』はねーだろ~って思うけれど、ナゼかこのテの食堂に入ると『カツ丼』『ラーメン』『ヤキニク定食』といった超王道を注文したくなるというものだ。
反射的にそいつを注文してしまったボクに若干の哀れみとケーベツ感をセルフで抱きつつ、少しだけシンパシイを与えてあげたい。だって仕方ないじゃないか、『カツ丼』ずっと喰ってなかったんだもん。「パパっと」と「ガツンと」の両方を同時に満たす肉体労働者昼飯の横綱だからねえ。
10分も待たないうちに運ばれてきた『カツ丼』を見て、その想定外の出で立ちに半分落胆、そして半分「もしかして…」の期待が複雑に交差する。三つ葉とかグリーンピースあるいはキヌサヤなどの青みもなく、けっこー濃い色の玉子とじに刻み海苔…見た目はスタンダードというよりも、やはりイナカの食堂によくあるソレである。
ボクとしては”ザ・カツ丼”というフィクスなスタイルとして、先ず丼にフタがしてあり、そいつを開けると玉子は白と黄色のマーブル状に半熟からハードまでのグラデーションを美しく連ねていること、その裾野にちょろっと見えるカリカリしたとんカツのコロモ、トップには三つ葉またはキヌサヤが据えられ、具とゴハンの間に焼海苔のちぎったものがチラリと見え隠れする…といったものだ。
「ちかちゃん」の『カツ丼』はそうした幻夢とは対極を為すものであって、ザザっと、しかし基本通りに作ったストレートさがある。ある意味”カッコつけない純情さ”がある。あぁ純情って死語ですね…でも悪くはないと思いますけど。
ボクは意を決してドンブリにクチをつけワシワシとほおばった。美味い!美味い!ええっ?なんで~?美味いじゃないか、コレって!なんだか安心するというかホッとする味と食感だよな。タマゴと醤油の旨味が豚カツのコロモの脂とストロングなタックルを組んでストレートに脳髄を直撃してくる。美味い。美味い。シツコいようだけど本当に美味い。
白メシの炊き加減もいい。タマネギの切断幅もいい。ダシ醤油の濃さもいい。タマゴの火の通り加減もいい。全ていい。全て許せる。全て満足する。全てカラダにシミてくる。

あ~ちょっとショックだなあ。今までこーゆー『カツ丼』って食べたいと思ったことはなかったんだけどねえ、突然に知らないヒトから「岡崎体育を見習え!」と叫ばれビンタまで喰らったようなキブンだ。本当にそう思います。すみません。今後は悔い改め精進したいと思います…いえ約束しますから。

いつもは外食ともなればちゃんとしたデジタルカメラを持参して証拠写真の撮影をするのだけれど、この時はコンビニ弁当のつもりだったので記録の手段としてはスマホカメラしかなかったのよね。ちくしょ~無念じゃないか。しかし何もないよりはマシなのであって、少しでも記憶を蘇らせてくれるものがあるだけいいのだな。まあこんあこともあるさ。
でもねえ、学生の頃は携帯電話なんてものさえ想像もできなかったのに、まさかこんな画像まで記録できるものを無線電話のオマケ機能として手軽に持ち歩けるようになるとは…。絶対に老人と呼ばれたくないエロおやぢとしては、そいつをサラリと使いこなす日常でありたいのよね。


食堂 ちかちゃん
愛知県小牧市大字野口1911
TEL=0568-79-8032
ACT=11:00-14:00 / 17:00-21:00 木曜定休(水曜のみ14:00で終了)




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