でらうみゃ~でかなわんわ(48)

噂のにゃごやモーニング その29 「 純喫茶 にんじん 」

”純喫茶”の存在価値 とは

このお店は尾張四観音のひとつ「荒子観音」から「笠寺観音」に行く途中で偶然に見つけたお店です。カーナビゲーションの指示通りに向かっていたのだけれど、そう広くない路(つまり幹線道路ではなくフツーの市道かな)の途中で「純喫茶」という文字がメに入ってきたのですよ。

コトバとしてはもちろん知っているけれど、ここしばらくはお目にかかったことのない珍語あるいは死語とも言えるコトバが現実に店名の冠詞として存在していることにトリハダ状態のエロおやぢなのよ。うっそ~、マジですか!

全く予定にはなかったことだけど、どうしても看過できない…なにか義務ということプラス”運命”のようなものをビビッと感じたので、そこを通り過ぎてしまってはいたのだけれど急ぎバックしてそのお店の前にキャプチャー君を停めた。そのままでは手にお縄がかかってしまう行為なのでハザードランプ点滅&お店に飛び込んで駐車場の有無を尋ねた。幸いなことに店舗スグ横スペースがあるらしい。

う~ん、これで安心なのです。ヨユーでお店に入ると本当に可愛らしい店内だった。入り口のソンブレロは破れかけて色褪せているし、店舗の外壁もなんだかサエない状態になっているので心配だったけれど、店内はごくフツーに清潔で明るい状態が保たれていたのでハズレではなさそうだ。

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横長の店内は四人掛けのテーブル&ソファ席が4つ、カウンターが4席…つまり20人で満杯のお店なのです。
先客は高齢のご夫婦の一組だけ、インスタグラムとかフェイスブックあるいはグーグルマップなどでちょっとは知名度があるお店とは違い、ボクみたいなヨソモノの来店動機ってものは全く無くて、アクメでも…違う違う!タイプミスだってば…あくまでも地元さんがサラッと通う喫茶店みたいです。

店主のおねーさま(たぶん70代半ば過ぎ)は「ウォーマのスイッチを入れ忘れていたので未だ温まっていなくてごめんなさいね」と言いながらナマヌルオシボリとヒヤタンをテーブルに置いた。いやいや、ぜ~んぜん構いませんから。
それよりオーダーを…と思ってメニューを探すけれど、こちらのお店もそれが無いようなのですね。そうですかそうですか、このテの変則サービスにはもう慣れました、解ってますから~新参者のボクだって。
ってことで「ホットコーヒーでお願いします」なのです。おねーさんはすかさず「モーニングでいいんですよね?」と確認メッセージなのでありまして、もちろんオッケーのアイコンタクトでオーダー完了です。

MINOLTA  M-ROKKOR 2/40  @ SONY α7

さてどんなモーニングサービスなのかと楽しみにしておりましたが、供されたものはトーストと茹で玉子だけでした。でもいいんですコレで、上等じゃありませんか。コーヒーもすぐに出てきたわけではなく、ほんのちょっとだけタイムラグがあった気がしますが、遅かったってほどではありません。そのワケは「オーダーが入ってから一杯づつ立てるのよ」というおねーさまのポリシイがあるからなのでありまして、ファットで風味豊かなそのコーヒーを飲めば納得するというものです。

う~ん、美味しいじゃありませんか!コーヒーのお味は前述の通りで申し分ありませんし、トーストもいい風味です。そして特に茹で玉子が究極の半熟状態であったことにボクとしては称賛の拍手喝采なのであります。
コーヒーのお値段が¥350だったか¥380だったかは忘れてしまいましたけれど、¥400未満だったことに間違いはありません。いいねえ、このお値段でこのお味ってさ。

そりゃ世の中にはリッチなモーニングサービスを提供しているお店は数多ありますけれど、やっぱり基本はコーヒーそのもののクオリティーがモノを言うわけですよ。ボクがほぼ毎日のように利用している喫茶「ボンフール」さんもソコんところがブレていないからなのでありましてね、ガキには解らない ”純喫茶”の存在価値なのであります。

おねーさまのお話では来店客は「年寄りしか来ないのよ」なのだそうで、若者はこーゆージミな存在の喫茶店を利用する意味を単に知らないだけなのかなぁと、逆に可哀想に思えてもくるわけです。若者たちよ、中心部にあるカッコいいお店やオシャレなカフェもいいけれど、都会からちょっとだけ離れた下町の喫茶店でホンモノのコーヒーをぜひ味わってみようではないか。50年も営業を続けているお店(おねーさまが三代目のオーナーらしい)の価値を学ぼう。

名古屋市内でも南区の城下町という少し下町テキな場所で50年…ってスゴいですよね。大須の商店街にあるインチキ&フェイクだらけのあの店とはステータスが違います。
「今年になってまだ一日も休んでいないのよ」とおねーさまは語った。いい御歳なんですからきっとお疲れになられると思うんですけどね、そのかわり「昼ごろまでしか営業しないし、病院とか用のある時は張り紙して休んじゃう」のだそうです。まああまり肩肘はらずにユルくやってるところでちょうどいいのかな。

そんなモーニングに満足してボクはお店をあとにしました。そしてお店の外観フォトをスマホで撮影していると、おねーさまがドアを開け「マッチは要る?」と仰ってくださるではありませんか。いや~有難いことですな、喜んでいただいてきましたけれど、お店の戸棚からガサゴソと探し出してくれた箱マッチは「もう何十年も前に作ったものだけど、使う人もいないのでたくさん残っている」そうで、なんと4つも下さったわけです。イラストがソバカスのある少年、可愛らしいし純喫茶らしいステキなデザインです。そういえば店名の「にんじん」ってもしかしたらジュール・ルナールの小説「にんじん」からつけた名前?と今になって気づく次第なのでありまして、その辺りもおねーさまに聞いてくればよかったなあ…なんてハンセーをしています。


純喫茶 にんじん
愛知県名古屋市南区城下町2丁目 37
TEL=052-822-3453
ACT=6:00-12:00くらい 年中無休も不定休あり




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笠寺観音

とってもいい時間を過ごした純喫茶「にんじん」さんは予定外の収穫でしたが、ここから本来のモクテキだった尾張四観音の三つ目である「笠寺観音」さんに向かうのです。
正式な名称は天林山笠覆寺(てんりんざんりゅうふくじ)、真言宗智山派の寺院です。創建は天平5年(733年)と伝えられていますから結構なものですね。

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かなり散ってしまって葉桜に変身ちうの桜がその山門前で迎えてくれます。満開の好天なら素晴らしい光景になるんでしょうけどね、まあこんな景色も悪くありません。ハラハラと散っている桜の花びらが季節の移ろいを感じさせてくれるものであります。

名古屋市の指定文化財になっている山門にはかなりリッパな仁王さまがその両脇を固めておられます。紅く塗られた形相が恐ろし気ではありますが、慈愛のある優し気なものもある眼光が印象的です。

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山門には幼児用の小さなものから三尺を超えるような大草鞋が掛けられておりまして、その意味は何かあるのでしょうけれど、とにかく「ふう~ん」と感心しては見入ってしまうボクなのでありました。


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その山門をくぐり本堂に向かいます。緩い上り坂になっていまして、ふと振り返ると先ほどの山門がちょっと見おろすカタチで下に見えます。おぉ~なかなかにステキな境内風景じゃありませんか。

さてここで本堂の銅造十一面観世音さまにお参りするわけです。国の重要文化財に指定されています。本堂そのものも名古屋市の指定文化財ですね、いといろいろハデハデきらきらな本堂ですが、それは参拝者の通用路部分だけでして内部はやはり荘厳なフンイキなのであります。

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境内の別の場所には「六地蔵」というものもありまして、輪廻転生する世界(六道)は地獄道・餓鬼道・畜生道修羅道・人間道・天道となっていて、お地蔵さまがそれぞれの道で救済をしようとしておられるそうです。

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クルリと回りながらその御頭を撫で摩り、苦しみや悩みを打ち明けて、気持ちを軽くしたり心を磨く糧とするためのものなのだそうですよ。ボクですか?ええ、もちろんそうさせていただきました、煩悩も多く苦悩に満ちた日々を送っておりますので。笑わないでください、これでもちょっとは真剣かつマジメなんです。

手水舎には「水かけ地蔵」さんもいらっしゃいますが、前掛けや帽子にはちょっと違和感がありますね。着衣のまま水をかけることには抵抗があります。みなさんどーしておられるのでしょうか…しばらく見ていましたが、水かけをジッコーする参拝者はおられませんでした。

さて「尾張四観音」とはその中心に存在する名古屋城を守護するために定められたものらしいですよ。北西が甚目寺、南西が荒子観音、南東に笠寺観音、北東に龍泉寺…となっていて、今年が龍泉寺、令和二年は荒子観音…ということになっているみたいです。まあ普段は恵方なんて気にしたことはありませんが、どうせお参りするならそうした縁起を担いで行動したほうがいいのかも知れませんね…とこのごろ思うようになりました。

これで残る四観音さまは守山区龍泉寺さんだけになりました。ゴールデンウィークの長期休暇にも突入しますし(当然帰省しますから)しばらくは尾張の寺社巡りはおあずけになりますけれど、GW明けナゴヤにリターンしたら再開です。周辺のグルメをリサーチしたり準備はいろいろタイヘンとはいえ、守山区の寺社って初めてかなあ、楽しみですねえ。


Ernst Leits M-ROKKOR 4/90,  MINOLTA M-ROKKOR 2.8/28, 2/40  @ SONY α7



笠寺観音(天林山 笠覆寺:てんりんざんりゅうふくじ)
http://kasadera.jp/
https://www.facebook.com/kasadera.kannon.enmusubi/
愛知県名古屋市南区笠寺町上新町83番地
TEL=052-821-1367
ACT=8:00-16:00