でらうみゃ~でかなわんわ(53)

噂のにゃごやモーニング その32 「 Coffee & Jazz 古時計 」

本物のアンティークに囲まれて

朝八時の開店ということでキャプチャー君をそろりと走らせてはみたものの、やはり日曜日の朝は路も空いていて意外に早く到着してしまうものである。う~む、少し早すぎちゃったかなあ…と駐車場にクルマを停めていると、常連さんらしき方々が次々とやってきてはお店のウラ口ドアを開いては中に消えてゆく「古時計」さんなのであった。
常連でもないし初めてのお店なのでそーゆーパスコースは当然スルーして、ごく真っ当に正面入り口から入店するボクです。そしてオモテに回り未だ「商い中」の札が掲げられていない入口前で待っているとご主人らしき方が開店の儀式を始めに出てこられた。

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「すみませんねえ、ちょっとお待ちいただきますが…」とその方はにこやかな笑顔で迎えてくれた。いやいや、急いでいるワケではありませんからどうぞ心ゆくまでしっかり開店準備をなさって下さい。
そして店内に足を踏み入れると、その圧倒テキな古時計の数に驚きおののくボクなのですよ。いや~スゴいですねえ!この古時計の数々…そして時計だけでなく電話機とか銀塩フィルムカメラや幻灯機といった過去のアナログ機器たちがその存在を強く強く押し出してくる。本物のアンティークだけが持つチカラに囲まれて、日ごろオールドレンズを愛用するボクとしては大いに勇気も沸いてくるというものだ。

テーブルに就いてホットコーヒーを注文する。ご主人はヒヤタンとオシボリ(ビニール包装は取り除いてあった)を置きながら「ちょっとお時間をいただきますが」みたいな意味の旨を伝えてきたけれど、コッチは突然押し掛けた一見の客である、ワガママなんぞを押し付ける道理もなければそのつもりもない、ただただ美味しいコーヒーとモーニングサービスを受けられればソレでよいだけの話である。
ご主人がみょ~に恐縮してくださるのには理由があって、こちらのお店ではコーヒーをサイフォンで淹れて提供しているのだな、チラリと厨房カウンター方向を見るとそんな風景が見てとれた。ジツに丁寧で正直なお仕事をされているようだ。

そしてフツーの喫茶店よりわずかに時間をかけて提供されたそのコーヒーをいただいてボクは納得以上のものを感ずることになるのである。美味い、やはりサイフォンならでの雑味の少なさや洗練された香りというものがあるのであって、普段ネルドリップのコーヒーを飲み慣れている者としてはなかなかに新鮮な体験なのよね。いや~久しぶりです、サイフォンのコーヒー…単純に、ストレートに、シンプルに美味しく感じるし、とても喜ばしいものに思える。なんかリッチな感じでいいよねえ。

モーニングサービスはトーストと茹で玉子のみという簡素なものだった。
もしかしたらボクがオーダーした『シナモンシュガートースト』以外にも何種類かあるのかも知れないけれど、オーダー時にご主人から「シナモントーストでよろしいですか?」と訊かれたということは、ソレが一番のオススメだという意味だろうし、ボクも好きなトーストなので即オッケーでお願いした次第なのですよ。そしてそれはとても満足のゆく美味しいトーストなのでありました。
「モーニングにソレだけ?」なんて無粋なことを言ってはいけません、こーゆーお店はこれでいいのです。静かに流れるピアノトリオのJazz、五月の爽やかな風が開けた窓から通り抜けてゆく店内と、心地よいピアノの響き…あぁなんてステキな時間なんでしょ!美味しいコーヒーと美味しいトースト、そして洗練されたピアノの旋律…これ以上の何を望むのですか、小欲知足(ヨクショウニシテタルヲシル)なのであります。
そんな店内でウットリしていたらご主人が「窓を開けているので寒くありませんか?」と声かけしてくれました。有難いお心遣いでありますね、いや~ボクは暑がりだもんで丁度いいカンジです…とお答えしましたけれど、本当にこんな空間ってなかなかありませんよね。
古時計のコチコチ・カツカツと時を刻む音、時折ゴ~ン・ボ~ンと鳴る鐘の音…いい時間を過ごすことができます。何故かコドモのころを思い出してしまう「古時計」さんなのでありました。

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Ernst Leits Elmar 3.5/50  SONY α7


Coffee & Jazz 古時計
愛知県名古屋市守山区中新10-10
TEL=052-793-8790
ACT=8:00-18:15 無休(水曜日のみ~14:00)





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尾張四観音 龍泉寺

甚目寺観音荒子観音笠寺観音尾張四観音(おわりしかんのん)巡りはここ龍泉寺観音でコンプリートとなる。何れも開基から千数百年を経た古刹であってナゴヤの歴史に大きくかかわってきた寺院だ。
そして名古屋市中心部の北東に位置し、尾張旭市に隣接、庄内川を隔てた先は春日井市となる守山区、その小高い丘の上に築かれたこのお寺は「尾張三十三観音霊場 第二十五番札所」でもある。

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MINOLTA M-ROKKOR 2.8/28  SONY α7

参拝者駐車場にクルマを停め階段と長いスロープを上ってその山門を目指すわけだ。途中の参道には大小の祠に納められた仏像がいくつもあって、特にこのお寺のご本尊さまが馬頭観音ということもあるのか、各地の馬頭観音が集められたブースもある。

そして間もなく重要文化財の山門という場所に至ると、まるで旅の参拝者をねぎらうように二体の仏像が迎えてくれるのであります。

Ernst Leits M-ROKKOR 4/90  SONY α7

本堂は戦火や不慮の火災で二度も焼失しているけれど、この山門はそうしたことをくぐりぬけ現代に至っています。その門前には数多くの紅白幟が整然と立ち並び、ご本尊の馬頭観音様のご利益を象徴する姿となっているのですな。

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山門の左右にはそれぞれ仁王像が例の形相で待ち受けているのでありまして、不浄な者・悪者などにニラミを利かせているわけです。この木像についての説明を見聞するのをうっかり忘れましてね、アトからでは調べようもなくてジツにいーかげんな日記になってはおりますが、まあそれにしても立派で年季の入った木像であることは確かなのであります。

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MINOLTA M-ROKKOR 2/40  SONY α7

そんな山門をくぐると美しい境内が広がっています。左から時計方向に多宝塔・本堂と続き、右手奥に博物館としての龍泉寺城模擬天守閣と庭園入口があります。

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手水舎でお清めの聖水をいただきます。

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そして本堂へ。大きな赤提灯が吊り下げられていて、まるで神社のような構えですね。ご本尊様を拝み、ふと振り返ると廂に七福神の宝船のような木製画が掲げられていました。これもシブくてかなり古いもののようですが、やっぱり神社っぽい感じですよ。

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龍泉寺城と庭園は有料になりますがぜひ拝見してみたいところです。
よくお手入れされた美しい庭園、そして庄内川濃尾平野を一望にすることができるこのお寺です。歴史上の人物たちはいったいどんなキモチでここに立ちこの景色を眺めたのでしょうか。

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城とは言っても後年建築された模擬天守閣であって(ただし龍泉寺濃尾平野を見おろす要害の地だったので、実際に戦の際は城や陣地として信長や秀吉が使用したらしい)今は博物館として機能しています。
円空一刀彫の馬頭観音像、やはり円空による千体仏、重要文化財地蔵菩薩立像などが寺宝として展示され、その素晴らしい作品をしっかりこの目で見ることができました。保護のためのガラス越しなのでフォト撮影はしませんでしたが、どんなもんなんだい…って方は龍泉寺の公式ホームページでご覧になって下さいね。


尾張四観音 龍泉寺(松洞山大行院龍泉寺
http://www.ryusenji.com/
愛知県名古屋市守山区竜泉寺1丁目902
Tel=052-794-3647




これで尾張四観音さまへの参拝も無事に終了し、なんだかホッとしたキブンで龍泉寺さんをあとにしました。帰路にもお見送りをしてくれるお地蔵さまがおられました。

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Ernst Leits M-ROKKOR 4/90  SONY α7