鶏料理のガロニの材料をスーパーに買いに行った。例によって真っ先に向かうのは鮮魚コーナーだ。
真ツブとしてはかなり大きく活きたものが氷詰めにされているではないか。1ケ150円…見なかったことにしよう、と一旦は離れたが薬物中毒者のようにフラフラと戻りビニール袋に入れてしまった。
買ったのはボクではない、私の中の悪魔がそうさせたのだ。ついでに飾りのヒバも失敬してしまい、罪悪感は頂点に達する。
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だが悪魔はもう一人いた。買ってきた食材を冷蔵庫に整理していると、見たこともないビールが一本出てきたのだ。
「金麦」…サントリーか。昨日買ってきてあったようで、すでに充分に冷えている。
ツブ貝の塩ゆでによく冷えたビール…ムム。
「ダンナ、今日のシゴトはここで終わりにしたらどうでしょうね、へへ」と悪魔にささやかれ、あっさりと城を明け渡す敗軍の将。
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負け惜しみではない。負けてヨカッタ…だってホントにウマイのだから!
きめ細かく弾力のある身と、ウニのように甘い磯の香りを発するワタ。
ビールが旨いと実感できる肴ファミリーの実力派構成員だ。
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シュヴァリエ・デュ・フラン・テロワール
ACボルドー2004 赤FB
フランボワーズを思わせる個性的な香りに鮮やかな赤色。酸味も渋みもカドがとれたバランスを保ち、心地よい飲み口だ。
焦がした藁のような香りもかすかにのぞき、濃厚なキノコ・バターソースにゆっくりと溶け合う風情。鶏肉のソテーとの相性は抜群で思わずほくそ笑んでしまった。
静かな余韻も好ましい印象で、もう一本欲しくなるワインだった。
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