バジルと生ハムのピッツァ


 冷蔵庫のチルド・ルームにはさまざまな食材が満を持して待機している。
 そして出番なく忘れ去られ、悲鳴をあげる間もなく登録抹消されるモノもあれば、連行された当日に即戦力となって我々の胃袋に収まるヤツもいる。
 この生ハム君も前者の類で、あやうくサヨーナラを告げられる寸前だった。
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 薄焼きのピザ・クラストがスキだ。ブラック・ペッパーとオリーブ・オイルをさっとかけ、チーズをバラ撒く。
 しっかりと予熱したオーヴンには秘密兵器の「ピザ・ストーン」が待ち構えており、猛烈な勢いで素晴しい焼き色をつけてくれる。
さあ庭のバジルよ、ステージにお上がり!
生ハムと一緒に艶やかな舞を披露するのだ。
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 辛口のロゼ・ワインがあっという間に空いてしまった。
 ピッツァはシンプルが一番で、極端なハナシ生地とチーズさえあれば余りある満足が得られる。
 昨晩はピッツァだけでは足りずにバゲットのチーズ焼まで追加して作ってしまったが、こんなトキになって冷凍のピザ・クラストがあれば・・・と後悔しても間に合わないのだ。


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「ボクもタイキ中」
このアトこのカエル君は哀れにもこの場所を追われ、居心地の良かったバジルの葉はピッツァのお供として持ち去られてしまった。


CONTAX i4R Tessar T*6.5mm F2.8


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