甲州マスのポワレ  

 「週末は山梨にいます」またしても更新中である。
今回は山梨県立美術館編、ゲージュツの秋なのだ。といっても訪れるのは大学生のトキ以来で二十数年ぶり、周囲の環境もすっかり変わった。



 近代絵画に先鞭をつけたルーベンスブリューゲルの名作をこれでもかと鑑賞したアトは、その気分も西欧化してしまうのか、いくら甲斐の国に来ているとはいえ“蕎麦”や“ほうとう”などの和食系ではなく、ちょっと瀟洒なレストランで気取った洋食など食してみたくなるものだ。
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 美術館に併設されているレストラン「Art-Archives]を覗くとなかなかステキなメニュウがならんでいるではないか。
名産の甲州ワイン牛の煮込み料理や朴葉焼などといった献立もあったが、前日の夕食にすき焼きを食したばかりで選択から除外。
甲州マスのポワレ/みそソース仕立て』
川魚の料理も久しぶりだな…と期待を込めて注文する。
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 バターの効いたマッシュ・ポテトには根菜の素揚げやエデイブル・フラワーがあしらわれ、美術館の食事らしい彫刻的なアレンジがなれれていて楽しい。
 そして肝心のマスとそのソース、ムムなかなかリッパなお味なのである。
アイオリにみそ…だけかと思い食べ進むが、ナニか違うコクが絡んでくる。
淡白な甲州マスの身肉にしっかりとした陰影を付与し、香りと旨みを支えるそのソースには「チーズ」が隠されているようだ。


マジメに甲州らしさを追求した結果であろう、立派な作品だ。
このレストラン、もう一つ特筆すべきはその調味のセンスの良さだ。
香辛料やバターなどで必要以上の装飾を施さずに、素材の五感を活かす手腕に拍手を送りたい。


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食後のスイーツ
「ピーチのタルト」
きちんと下処理した名産のもも
凝縮された味と香り
楽しい時間のフィニッシュは
質素ではあるが本物の味
写真奥は「信州リンゴのキッシュ」



Art-Archices
(アート・アーカイヴス)
〒400-0065
山梨県甲府市貢川1-4-27県立美術館1F
TEL055-232-3855(レストラン直通)
営業時間 9:30〜18:00



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