P.ブロッサムの朝食  

いつもの時刻に目が覚めたが前夜の余韻がまだほんのりと残っている。
『花遊膳』さんでは4時間という時間が流れてゆくのにも気付かずに石原夫妻と白鳥さんとの歓談に酔いしれていた。




 カーテンの隙間からうっすらと射し込む光は夏のそれと違い柔らかな線を描いている。
朝食の前にペンションの周辺を少し散歩した。清冽な森の香りと冷気が瞬時に脳の細胞に浸みこんでくる。
日常とは違う一日の始まり…珍しく日が変わるまで楽しんだ翌朝には丁度良い時間の遅れだろう。
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 午前八時がこの宿のモーニングタイム、ダイニングに着くとサラダが準備されていた。
地の野菜がたっぷり盛り込まれ、サラダ好きには堪えられない質と量だ。根菜の蒸したものや素揚げも添えてあり、コレひとつでも立派な料理である。

 自家製なのだろうかカタチの整っていないパンにルバーブのジャムを塗って食べていると、メインの一皿がスープと共に運ばれてきた。
ベーコンにキッシュ風のオムレツ、一見なんの変哲もないプレートだが添えられている野菜やキノコが新鮮。
屋外からダイニングに足を踏み入れた途端に漂っていたいい香りはコレだったのか…
紅葉をはじめとした秋の行楽とスキー客が訪れる冬の合間であるこのシーズンは宿泊客も少ないらしく、この日はボクたちだけの貸し切り状態がヨケーにリッチな思いを増大させてくれる。



 コーヒーもサーバーにたっぷり準備してあったが、生のハーブを摘み取って入れてくれてあるガラスポットを見つけ嬉しくてつい手が出てしまった。
湯を注ぎしばらく待つとナチュラルな黄金色がじんわり現れる。
生葉だけが持つスパイシーな酸味と甘さが、ハシャギたくなるココロを鎮静させる。
窓外の美しい景色を楽しみながら摂る朝食のフィニッシュにふさわしい清涼感、あぁ八ヶ岳山麓に来てヨカッタと思える瞬間なのだ。

ずいぶん時間をかけた朝食は小一時間も過ぎていただろうか
部屋から眺める風景は赤く色づいたカラマツの林に蒼い空を重ねて爽やかである
初冬の少しだけ寂しげな様子もいいものだ
高原の道路をゆっくりドライブしよう
そんな気持に誘ってくれたようだった


リビングに暖炉
薪の燃える香りと音
静かな木立に囲まれた
癒しの空間がある


B&Bペンション『ブロッサム
http://www.oizumi.ne.jp/~blossom/
英国風の"Bed & Breakfast"を前提に全4室での運営、細やかな気配りのきいたもてなしで宿泊者を迎えるペンション。
お酒も思う存分楽しめるように夕食は近隣のレストランまで送迎してくれる。
さすがに花遊膳の白鳥さんがご紹介下さっただけの価値のある宿だ。
朝の食事も自然食を中心に暖かな気持ちにさせてくれる。
全室通年同料金(¥6500)というのも非常に良心的だ。
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〒409-1501
山梨県北杜市大泉町西井出8240-995
TEL : 0551-38-1636
E-Mail : blossom1@oizumi.ne.jp