鮪のあぶり丼  

このところヅケのような食べ方が多かった気がする。生魚の美味しさと焼魚の香ばしさがミックスされた“あぶり”も寿司屋などではお馴染みのテクニックで、一度やってみようと思っていたところだった。

 家族がスーパーで調達してきたマグロはメバチ中トロで適度な脂が入っていて好都合、「炙りにしよう」と思いたったのもその色ツヤに後押しされてのことだ。焼き網をガス台にセットして早速開始する。
香ばしい煙が台所に拡がり「え〜い、このまま喰っちまえ!」という悪魔の囁きも聞こえてくるが強固な精神力で耐え抜かねばならない。
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 巷ではバーナーを使った炙りが主流である。確かにピンポイントで焼き目がつくので生部分を残しやすく、見た目も重視しなければならない商売であればこそ重宝な道具だ。
残念なコトは焦げ目と加熱されていない部分の境目が極端で、味の変移曲線がなだらかでないために少々趣に欠けるのである。まぁこの辺りは好みの分野でもあるのであまりウルサいコトは云わないが、確かに“炙り”のメリットが多くの方々の支持を得ているのは間違いないようである。
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 見た目は焼魚か煮魚のようであるが、中はレア状態でジツに美味い。仕上げにいつものヅケだれをかけワサビを少々絡ませて食せば、どのカテゴリーにも属さないフシギな世界が小丼の中に展開される。
胡麻を切らしていたという失態を演じてしまったが各自好みの香辛料や薬味を添えて召し上がればよい。それよりもアットーテキに鮪のあぶりの風味は力強いのである。



今朝はどんよりとした空の富士山です
今年は雪が純白になってくれませんね…


Micro-NIKKOR 55mm f2.8 / Nikon D300
2008.02.10. 07:19 @Mannohara-Fujinomiya