大塚国際美術館と阿波国のランチ

美術館へ足を運んだのは昨年9月に山梨県立美術館での「プラハ国立美術館展」以来かもしれない。2008年10月13日、ボクは阿波の国の最東端に位置するこの美術館に果たせなかった想いをやっと解放したのだ。

ミケランジェロによる「システィーナ礼拝堂」天井画や壁画のレプリカが、実際の建築と同寸で再構築されているのが最も有名な大塚国際美術館である。レプリカとはいっても陶板に精密な写真プリントを施したモノなので、ホンモノを遠くからしか眺められない状態よりは遥かに詳細を確かめるコトが可能だし、手で触れるコトも禁じられてはいない。
確かに制作者の手による実物であればその場の空気感や匂いそして環境といった部分で全く違う存在ではあるが、誰しもが其々の作品を鑑賞に行くチャンスがあるワケでもなく、ましてや世界中の芸術作品を一堂に会して堪能できるスペースはそうあるものではない。

レプリカとは芸術家本人やその管理者の承認や監修を得て制作された芸術作品の一種であり、通常目にしたり手でそのカタチを確かめたり出来ないアートのエッセンスとしてのプレゼンテーションなのであるからして、単細胞テキに“ニセモノ”としてカッコでくくってしまうのは如何なものかと思うのだ。またこうした美術館を訪れる人々を見下すような発言をする輩もいることが残念でならないのね。
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
古代から中世、ルネッサンスバロック、近代、現代と連なる芸術の連鎖が原寸大陶板プリントで千点余り、とてもココでご紹介し切れるものではないが、ボクは上の「スクロヴェーニ礼拝堂壁画」がとても気に入った。ジョットの制作のよるこの作品は美しいペルシャンブルーとアイヴォリーのコントラストが素晴らしく、ルネッサンス芸術の礎を築いたフレスコ画なのである。
中庭にはモネの「大睡蓮」がオーヴァル展示され、周囲に設置される池に映えるスイレンとの比較が興味深いスペーシングで見る者を魅了する。
ジツはボク、ポロックアンディ・ウォーホルに代表される現代美術がダイスキなのだが、今回の訪問では時間テキな問題であまりゆっくりと鑑賞できなかったのが無念で仕方がない。
1F〜2Fに展示されている現代美術はフツーのヒトにはあまり人気がないようで、ホールには人影もまばら…そうか!もう一度行けばいいのね。
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

名画鑑賞はハラが減るものなのだ。って名画じゃなくても歩けばハラは減るワケだが、なんとなくこうした時間を過ごしたアトは品の良い空腹感がある。いや、空腹感には品もヘッタクレもないハズなのだが、とにかく昼メシなのだ。
鳴門海峡を眼前にするこの美術館では、ご当地名産の鯛とワカメをフィーチャーした「鯛茶漬け」をレストランのメニューとして据えてあり、ユニークな構成なのである。
14日の日記にも書いたが、美術館のレストランメニューに茶漬けがあるのはココだけだろう。しかし面白いコトに鯛茶漬けをズルズル食べているのは同行したKとボクだけで、周囲の来館者はみな品の良い洋食系のランチをお召し上がりになっているのだ。
せっかくこうして鳴門まで来ているのだから、名物を堪能しなければつまらないじゃん…などと思っているのはボクだけだろうか。

もっともこの徳島周辺のホテルや旅館に宿泊すれば、鯛のお造り船盛やワカメ三昧などと云った料理は当たり前で、それこそ由良のウニやイカナゴ料理、近海魚の干物やタコ料理でゴーカ絢爛コンパニオンつき大宴会で酒飲め歌えやデロデロエロエロになりシメは真夜中の徳島ラーメン突撃といったスペシャル&ディープなナイトライフをマン喫できるハズなのだ。
もしかしたらアノ初老の男性は昨晩飲みすぎて二日酔い気味なのだが、ヨメに強いられて旅館の朝食をちょっとムリして食べたのでハシが進まないのではないか…とか、となりの席のおねーさんは彼氏と酒を飲んで調子に乗ってウッフン♪乱れ過ぎてしまったので「ホントはワタシ、こんなに上品なんです」とハンセーのイミも込めた洋食コースちびちび喰いをしているのか…などと下司な詮索をしながら楽しむ鯛茶漬けなのである。

同席したのはカラダもデカいが喰う量もビッグなKだったので、鯛茶漬けのホカにこの「仔牛肉のトスカーナ風 カプレーゼトースト添え 〜イタリア フィレンツェの昼食〜 」といった長ったらしい名前のランチも半分コして食べよーぜ!というコトになった。
1475年イタリア・フィレンツェ近郊に生まれたミケランジェロイタリア半島中心に位置するフレンツェは野菜も豊富で、それらを使った昼食を摂りながら修行の時代を送っていただろう…というイメージで創作された一皿、鮮やかな色彩のコントラストが楽しいプレートランチだ。
10月のテーマランチというコトでコレを注文しているお客さんも多かったのだが、美術館レストランにしては価格設定が庶民テキでお味の方も充分に満足できるお店であるのが大塚食品の良心として見て取れる。




大塚国際美術館
http://www.o-museum.or.jp/japanese/index.html

徳島県 鳴門市鳴門町 鳴門公園内 
TEL:088-687-3737 FAX:088-687-1117




今朝の富士山

2008.10.18. 05:49 @Fujinomiya-City