神戸の食事(1)酒処『でぶ』

今月11日に神戸から「由良の海胆」のタイトルで日記を書いたのだが、もう少し書き加えてみたくなったので改めて整理してみた。

 北海道からやってくるKに合わせてボクが神戸に行くコトになったので、Gが予約をしてくれてあったのがこの店『でぶ』なのである。
新鮮な近海の幸を中心にお酒を楽しませてくれるお店なのだが、驚くほど料金が安いので大人気らしい。そのためかココを訪れるお客さんは予約が中心で、フラリと立ち寄った一見客などは残念ながら座る席も空いていないほどの盛況ぶりだ。
 その夜は「ゼッタイに食べたいもんね♪」と楽しみにしていた“由良の赤ウニ”は後ほどのお楽しみにしておいて、先ずは“とり貝”そして“シマアジ”のお造りを注文した。ボクは鮨屋では必ずといっていいほどこのとり貝を食べるのだが、この独特な食感と噛みしめるとジワリと滲みでてくる甘みが堪えられないのよ。丹後半島舞鶴のモノが品質食味共に優秀らしいが、神戸なのでもしかしたらそうだったのかも知れない。産地を訊ねるのをウッカリ忘れてしまったのだが、ソレくらい厚みのある肉が美味しい鳥貝に我を忘れてしまったのだ。

 シマアジはカンパチと並んで以前は天然モノしかない…という貴重さも加わって高価だったが、近年は養殖事業も順調な様子でボクたちにもその恩恵が回ってきている。養殖とはいっても極めて天然に近い環境とエサを用いて生育させているので、ミョーなねろねろ感はなく大変に美味しいのだ。
 そしてもう一つ関心してしまったのは、このお店の“カツヲのタタキ”にはフライド・ガーリックが用いられていたコトなのだ。Gは当たり前のように食していたので訊いてみるとコチラ神戸ではけっこーポピュラーらしい。
生のニンニクスライスのようなキツさもなく、しっかり香りと揚げた香ばしさが活きていて、カツヲにこれほど合うとは思いもしなかったのね。
このアイデア、次回自宅でタタキを食べるトキに活用させていただこうではないか。

 ウニと云えば北海道や東北日本海産というアタマしかなかったボクであるが、どっこい瀬戸内にも高品質なウニを産する場所があったのだ。以前にGのミクシイ日記で知って以来「一度は喰ってみたい」と呪文のように繰り返されていた欲望がやっと叶うのである。なるほど、雑味の少ない味と独特な磯の香りはナニなのか…と疑問を抱いてしまったので、ちょっと調べてみたりもしてみたのよ。
 由良のウニの最大の特徴は「出荷時に薬剤処理していない」ことらしい。薬剤と云っても人体に害を及ぼす類のモノではなく、古来から用いられてきた“ミョウバン”というヤツなのだ。
この処理を行うとウニの身がダラダラにならずに保存も良好な状態を保てるコトから、国内の加工業者のほとんどが添加しているらしい。
効き目を強くしようとするとミョウバン独特の苦みが勝ってウニの味は損なわれてしまうので、由良の漁師は敢えて用いずにホンモノの味を伝えようと努力しているようなのね。
そのためか消費者のテにわたる頃にはちょっとユルくなりがちなのだが、一度このピュアな味を知ってしまうと逆戻りは出来ないかもしれない。

 本場北海道から殴りこみをかけてきたKもこの由良のウニにはゾッコンだったようで、板海苔の上に胡瓜のスライスとウニを乗せたものを口に運んだトキなどは正に恍惚の表情なのであった。
北海道で主に水揚げ加工されるのは“エゾバフンウニ”というなんとなく汚らしい名前を付けられたウニちゃんなのだが、コンブを主体に捕食活動をしているので食味も濃厚、かつ東北以東の冷水域で生息しているためか身の締まりもよく市場では高値なのである。
 淡路島のウニは同じバフンウニ科のウニちゃんだが、卵巣の色味は若干明るく味わいは淡白なのである。一般テキには“エゾやムラサキより劣る”という評価をされているが、逆の見方をすればアッサリと上品という表現もできるワケであって、調理方法によってはコチラのほうが美味しく感じる場合もあるだろう。
旬は夏から秋にかけて…というコトなので、ボクたちはドンピシャのタイミングでありつけたのだ。



“あん肝”も燗酒のお伴にはたまらない一品であるし、関西で人気のある鱧も“はもちり”として提供されていた。
梅雨から盛夏にかけては湯引きしたハモを梅肉でいただく風流もまたよいのだが、この肌寒い季節にはチリ鍋が最適だろう。
ゆで過ぎないように少し神経を配って加熱したハモの身をおろしポン酢で頂く悦楽…
あ〜播州なんだな〜と感動もひとしおで、おカラダに障るからと封印していた日本酒もビールのアトで追加の連発なのだ。
明日からサミットのキャンプが始まるのに大丈夫かよ…と心配にもなってきたが、楽しい酒席に遠慮はご法度。
え〜い、ままよー!と「ヤバいっス♪」も連発していた(に違いない)ボクだったのね。



ヨッパのオッサンGは立ち小便をしているワケではありません
いいオサケでした〜


魚処『でぶ
神戸市長田区六番町7-6-7
TEL:078-575-0091(オンナは小女子大喰い)
定休日:日曜祝日 (予約をしてから行ったほうがよいそうです)




今朝の富士山

2008.10.20. 07:15 @Fujinomiya-City