神戸の食事(2)下町の味

伊勢湾岸自動車道新名神といった高速道路のオカゲで神戸への到着は思ったより早かった。ボクはGの家にうかがう前にハラごしらえをしておこうと、昨年のおぼろげな記憶を頼りに新開地に向かったのだ。

テキトーな駐車場にクルマを停め、プラプラと歩くとあちこちからいい香りが漂ってきては鼻腔を刺激する。せっかくココまで来たんだからどこかイナタい洋食屋にでも入ってオムライスでも喰うか、それとも神戸のラーメンってのもいいじゃん♪などと軒先を見て回っていると、なぜか“串揚げ”と書かれた暖簾や看板が多いコトに気づいた。
入口にサンプルが置かれたお店があり、串揚げ8本にゴハンと味噌汁、小鉢にオシンコまでついていて¥500! あまりに安くて「なんかアヤシイ…」などと思ってしまいパスしてしまったのだが、今にして思えば関西の食文化の実力を考えると思い切って入ってしまえばよかったなぁと後悔しているのね。
そうこう逡巡しているウチに見つけたのが餃子で有名な「萊萊」新開地店なのだ。 そうだよ!餃子ってテがあったのだー。今度は迷うコトなく店に入り“餃子定食”を注文した。

待っている間、周囲の来店客が食べているモノを覗くとハンで押したように餃子と焼そばが並んでいる。フシギに思って店内の掲示物を探すとこの日は餃子と焼そばが半額の日だったのよー!ショックぅ〜
ナルホド、そんなワケだったのね…って、もう頼んでしまったものは仕方がないので諦めたが、いざ運ばれて来たジブンの定食を見るといっぺんにそんなコトは忘れてしまった。
ジツにスバラシいではないか、餃子12ケwith生野菜とアーモンド型ゴハン、キムチ、冷奴、スープがついたワンプレート。ソフトで口当たりの滑らかな皮に包まれた優しい味わいのあんが、横浜中華街の餃子とはまた違った味でホイホイと食べられる。スープやキムチも美味しくて満足なランチプレートなのねー、コレで¥680?
ウソでしょ〜、やっぱり関西の食パワーは違うのだ。
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
いい気分で食事を終え、ソトに出るとそこら中にポスターや垂れ幕がある。
間もなく始まる「新開地映画祭」はラブ&エロスがテーマの女性限定で、福井のエロ将軍はさぞかし悔しがるに違いない…と思わずニヤリとしてしまった路上だったのである。


新開地まちづくりNPO
http://www.shinkaichi.or.jp/npo/



翌日は午前中からキャンプの食材の買い出しへ…
Gが案内してくれたのは“神戸の台所”と呼ばれる「東山商店街」だ。

 東山商店街はは兵庫区湊川地区に位置し、南北に伸びる2つの商店街と3つの市場によって構成されていて、規模としては関西No1を誇り京都の錦市場を凌ぐ存在なのだ。品質・安さ・品揃えと三拍子揃ったショッピングゾーンなのでいつも大勢の買い物客で賑わっていて、年末などはかなりの体力と気力がなければ抜け出られないほど混雑を呈するようである。
また、この商店街の場所には100年ほど前までは川(旧湊川)があり、あの平清盛が雪見之御所から大輪田之泊まで毎日船で行き来していた水路だったと言われている。
 そんなワケで周辺には湊川隧道、湊川公園湊川神社など多くの名所旧跡が分布しており、個性豊かな様々な場所と親しみやすい人々の活気に満ちあふれた東山商店街ならではの魅力がある。

 見たコトもない食材や新鮮な山海の幸に眼を奪われながら場内を一周、まるで迷路のように入り組んだ…とまで複雑ではないが、くまなく見て回るには丸一日を要するであろう。
食料品ばかりでなく日用雑貨や衣料品、クスリやちょっとした電気製品まであり、日常生活に必要なモノはほとんどココで賄える大商店街には同行のKもコーフンしている様子を見て取れる。
 食材は素材系ばかりでなくもちろん手作りの惣菜や漬物もあり、歩けばハラもすいてくる心理にキョーレツなプレッシャーをかけてくるのだ。ついにオッサン三人はヨクボーに抗しきれず、通りがかりの串焼屋でモツを喰うコトに…
予め下焼してあるものを、注文すると焼いて渡してくれる。カウンターに置かれたソース壺にジャブリと浸けてかぶりつけば「ウ〜ム、下町の味なのね〜♪」とニンマリなのだ。
つけたソースが床にポタポタと滴り落ちるのだが、心配は無用だ。ちゃんとマットが敷いてありソースの黒ジミが点々と蓄積しているコトから、みんなココで一本¥60の幸福をかみしめては再び買物の気力を充填してゆくのね〜と思ったのよ。

 おヒルの時刻もとうに過ぎ、Gが推奨する“塩ラーメンの旨い店”に行こうとハナシはついていたのだが、急な用事で一旦戻らなければならないコトになり予定変更。
去年も食べてカンドーしたアノ『春陽軒』の豚まんを買って帰るコースを選択した。東山商店街からクルマで数分の場所にある春陽軒さんは、震災前は大きな中華料理店だったらしいが、その後はこうして“豚まん”専門店の大人気店として復活している。
大きな蒸し器からはいい香りが噴き出していて一人前5ケを単位に包んでくれるが、店内には結構な面積の飲食スペースもあってほぼ満席の状態でお客さんが豚まんに喰いついていたのには驚いた。
 ココの豚まんの餡は強めの味付けが施されているのでそのまま食べてもかなり美味しいが、添付された味噌ダレとソースをミックスした“どろ味噌ダレ”をつけて食べるとサイコーにエキサイティングな味になる。
「早よぉビールを持って来んかい〜っ!」
となるコトは必至なのだ。
おシャレなKOBEもいいけど、こうした昔ながらの味がしっかり楽しめる神戸もいいものなのだなぁ。


豚まん『春陽軒』
http://www.syunyouken.com/



今朝の富士山

2008.10.21. 06:21 @Fujinomiya-City