晩秋の車山高原・FBM2008

木の葉を揺する風の音で目が覚めた。午前4時30分、昨晩のアルコールが脳髄を蹴り続ける状態で少し重たかったのだが、起き上がりそっとカーテンの隙間から外を眺めると木立の枝が激しく揺れる様子が薄暮の中に見て取れた。

　去年のFBMにはおシゴトと重なり参加できなかったリベンジのためにはるばる出かけてきたのに、本番を迎える前にグロッキーではあまりに情けなさ過ぎ〜なので、ボクは熱いシャワーで弛んだ精神にムチを入れ朝の散歩へとソトへ向かう。
って、カッコつけてんじゃね〜よ、ホントは血液中に残ったアルコールを少しでも排出させなければ…というアセリに後押しされて、小汗をかいてナントカしよーという寸法なのよ。
　ペンションのドアを開けたとたん冷気がカラダを撫でてゆく。
「う゛〜、さむぅ〜」
エントランスの階段を降りて行くとパラパラと小雨が脳天を直撃してきて慌てて引き返すボク。
「いや〜、まいったなぁ」
このままではボクの体調も回復しないし、肝心のFBMイベントだってアヤシい。

　濡れたって構わないさ…と勇気を振り絞り、背スジを立てて歩き始めた。霧とも小雨ともつかないモヤの中を進んでゆくと、先ほどまでのアセトアルデヒドの暴動は鎮圧されつつある兆しに心なしか希望もわいてくると云うものだ。
森の冷気に白く装飾された吐息は他人からしてみれば“タダの酒臭いオッサン”なのかもしれないが、ボクにとっては一息ごとに抜け去ってゆく悪魔のヤリのようにも思えて、健康なカラダへのステップを実感するのだ。

　駐車場のメガーヌたちはひっそりと朝を迎えているが、明け方の小雨と強風のためかカラマツの枯葉にコッテリとデコレーションされている。
湿っているのでタオルなどで振り払ってもカンタンには落ちてくれないし、少しずつ手でつまんでは取り去るという作業を忍耐強く継続しなければならないのは、何も二日酔いでなくてもかなりな苦痛であっただろう。
ボツボツと起床されたメガニストさんたちとアサの挨拶を交わしながらそんなコトをしているうちに、やや小降りになってきた雨と空の明るさが空腹へ誘導してゆく。
フシギなもので、こんな体調でもハラは減るのである。

　ペンションのラウンジにはコーヒーの香りが漂っていた。オーナーさんが気を遣って早目の食事開始を提案してくれたのは有難かったし、ナニよりそのコロには起床時の陰鬱な内面心理は一掃されてすっかり喰う気マンマンのボクだったのだから。
なんのヘンテツもない朝食ではあるが、焼きたてのトーストと新鮮な野菜サラダがなんと嬉しく感じるものなのか、プライベートで宿泊していたならばオカワリは間違いなくしたであろうブレックファストなのだ。
　ちょっと思い出してザンネンだったのは前夜のPart2で戴いた“シジミの山椒煮”でゴハンをバックリ喰ってみたかったコトなのね。しかしリゾート地のペンションでゴハンと味噌汁を食べたがるのは、海外旅行でヤタラに和食を要求する金満アブク銭系成金オヤジ旧型日本人の典型テキ行動のようなカンジもしないでもなく、ボクはその考えを消去しなければならないのね…と気づいたワケなのだ。

朝食後の小休止のアトはグループ駐車場で『Meganiste Japon』の記念撮影を。
宿泊せずに当日だけ参加された方や、別グループでの来場者も一緒に…このトキはまだ雨が止んでおらず、ちょっとお気の毒な撮影風景なのである。