辛味大根蕎麦

農民市場で辛味大根を見つけたのはかれこれ二週間以上も前のハナシだろうか。気にはなってはいたが思うようなタイミングで食す機会もなく、冷蔵庫の片隅で寂しく出番を待っていてくれたのである。

キッカケは朝の某国営放送で滋賀の大津だか近江八幡で“辛味大根の出荷が最盛期”と収穫を中継する映像を見たコトなのね。アナウンサーが抜きたての辛味大根をカジっては「甘い!」「辛い!」などと感想をレポートしているのを聞き「そうだよ、ウチにもあるじゃん♪」と思いだしてしまったのだな。
よ〜しコレで一発ザルソバでキマリ。辛味大根が主役だから他の薬味はあまり凝る必要もないが、出来あいの蕎麦ツユはそのままってのもナニなのでちょっとだけ改造してプロ仕様に変身させてやろうではないか。
確かに健康テキな食事には違いないだろうが、サスガにちょっとコレだけでは中一剣道部員の胃袋は満たされないだろうと思い天ぷらを揚げるコトにした。なぁに、玉ねぎと人参に根深の粗い小口切を加えただけの“野菜天”ってヤツね、ちょうど昨日イカの唐揚をした油が鍋に入っていて都合もよかったし…
表皮が紅い辛味大根はすりおろすとキレイなピンク色で見た目にも大変よろしいものであったが、その辛さは尋常ではなく独特の苦みと辛みですっかり蕎麦の香りや旨みを覆いつくしてしまう。ただ天ぷらのネロネロしたものがサッパリと洗い流されるので、乾麺蕎麦でも美味しくいただけるのは有難い。
ザル蕎麦でも充分楽しめるが、浅い鉢に入れた蕎麦にトッピングし蕎麦の芽などをあしらってツユを回しかけて食せば、もう少しお洒落なカンジにはなるのだろう。
夏場の辛味大根はひたすらつーンとくる辛さがウリだったが、この初冬の辛味大根には甘みも加わって味に幅が出ているように思う。ジツはこの時期に辛味大根蕎麦を食したのは初めてだったが、トリマキの副菜を工夫してやればナカナカにタイムリーな料理になるものだなーと合点がいった次第なのだ。