『びんとろ丼』は裏カルパッチョで

いつも利用するスーパーで“スーパーマンデー”なる月曜特売が恒例として行われているが、その日はビンナガマグロのサクが目玉商品だったので購入して少し前から冷凍保存してあったものだ。

イザというトキには解凍して“ヅケ丼”というイージーな夕食に利用できるという、いわば保険みたいな食材だ。しかしそのイザとなると「う〜む、フツーのヅケ丼ぢゃぁ面白くないしな〜」なのであり、昨晩はちょっとだけヒネってみた…というかひっくり返した、と云う方が正確かもしれない。
見た目はごく普通のヅケ丼だが、箸を突っ込むとオドロキの食材とお味が登場する。こんもりと火山のように盛り上がったびんとろヅケの下にはレタスや人参・大葉の千切りが隠されていて、ドレッシングにオリーブオイル・粒マスタードバルサミコ酢と云ったイタリアンの常連が控えている。そしてカルパッチョの重鎮マヨネーズが網目状に覆い被せられた上に醤油だれでヅケにされたビンナガが整列してご主人様の歓喜の一声を待っている…という具合だ。
そう、ドンブリをひっくり返せばまんま和風なカルパッチョなのである。
サッパリしていながらも脂がのったビンナガマグロは近年その食味の良さから“びんとろ”などと呼ばれ多く流通するようになったが、幸いなコトに今現在はフツーの鮪に比較して安めの価格で庶民のチカラ強い味方だ。
江戸では“びんちょう”と呼称されるようだが駿府では通称“トンボ”、漢字では「鬢長鮪」と表記するように鬢(びん=ヒゲ)のように見える胸ビレが著しく長いコトからその名が付けられた小型のマグロなのである。乱獲で個体数が減少傾向にあるというところが気にかかるが、クロマグロと同様そのうち養殖モノが登場してくるかも知れないビンナガマグロ。
カフェランチに登場させてもおかしくない料理が出来上がった。正直、絶品ドンブリなのである。






今朝の富士山
サーモンピンクに染まった空に蒼白い峰の静謐

2009.03.11. 05:58 @Mannohara,Fujinomiya-City