釧路の海から『たこしゃぶ』

昨年末、近くに住む友人から頂いたタコである。ご家族の出身地がボクの育った北海道の釧路というコトで非常に懐かしい思いでコレを受け取った。

年末になると釧路駅前の和商市場まで出かけては正月を迎えるための食品を見つくろったりするのは毎年繰り返される当家の行事であったが、普段からよく利用する庶民の台所でもある。
大きな水ダコの脚は冷凍されて杖のようなカタチで販売されていて、新聞紙に包んだソレを大切に持ち帰るのも楽しみの一つだった。
本来の意味・種類のマダコではないが、この水ダコは“北海マダコ”と呼ばれ現地でタコ刺しと云えばコレを用いて提供されるメジャーな存在だ。水分が多くやわらかいので一般テキには真ダコに比べて食味は落ちると評価されているが、地元釧路でこの刺身を食せばその考えが過ちであるコトにスグ気づき、気の弱いヒトならばそのまま床にひれ伏して「ゴメンナサイ…水ダコちゃん、許してくれ」と号泣するかもしれない。
完全に解凍しきってしまうとグニャグニャで切りずらいので半解凍でシャカシャカとスライスしてやるのがなかなかに快感なのである。こういうトキに当家の冷蔵庫に装備されている“切れちゃう冷凍”機能が大活躍なのね。薄く薄くスライスして、そう昨晩は『たこしゃぶ』で勝負したのだ。

コンブだしをとってフツーにしゃぶしゃぶしてやるだけだが、タコの旨みを生かすためにあまり他の具は多くしなかった。豆腐、水菜、ネギ、ブラウンえのき…これだけである。
面白い発見が一つあった。この料理はその名の通り湯に食材をサッとくぐらせて霜降り状態、つまりレアで食すのが特徴の食べ物なのであり食材本来の持つ旨みや香りが柔らかな食感と共に楽しめるという部分がウリなのである。
もちろんタコもその方程式に沿って演算してやれば極上の解が得られるワケなのだが、うっかり箸から逃げ出したのに気付かず縮こまってしまったタコを発見してクチに運んだトキに「いや〜ん♪」とヨロコビが湧き出てきてしまったのよ。
元々水分が多くやわらかいタコなので多少煮すぎても充分に柔らかな上、逆に甘みや香りが増しているようにも思える。欧州では“タコは人をだます”と云い伝えられて忌み嫌われてきたが、こんな二面性でダマされるのも悪くはない。
そして二度美味しい北海マダコ…ついでにもうひと働きして貰うつもりだ。未だ少し残っているからね、次はカルパッチョかな…






今朝の富士山


2009.03.12. 06:03,06:10 Mannohara,Fujinomiya-City