泉州『水なす』の漬物

神戸の友人Gから“水なす”の漬物セットが送られてきた。一昨年神戸に行ったトキに初めて見聞きしたそのナスは皮も柔らかく瑞々しい身肉が特徴で、大阪の泉州が特産というコトから“泉州水なす”とも呼ばれている。

ナスはインドが原産の植物で栄養価テキな見地からはあまり尊ぶべき部分が少ないものの、スポンジ状の果肉がダシや油を吸って美味しい料理をサポートしてくれるので欠かせない存在だ。数年前には麻婆茄子にハマって週に一度はジッコーしてしまったと云う“ひと夏の経験”もある。ちなみに翌年の実施回数はゼロだったと云う真のアヴァンチュールでもあった。
四千年の歴史を持つ某隣国でも冬瓜と並び“体温を下げる”という効能があるとされ様々な料理に応用されてきた経緯もあり、やはり夏野菜の代表格であることに間違いはないだろう。
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送られてきた“水なすの漬物”は三種類でヌカ漬と丸ごと浅漬・切浅漬である。昨年スーパーで泉州水なすを見つけてどちらもジブンで試してみていたのでお味は想像がついてはいたが、やはり本場モノは格が違う美味さだ。


Gはやれ「手で裂いて喰え」だの「酒は焼酎かビール」などとウルサいコトを言ってきた。シャラっくさいと思いつつもいちおーその通りに食してみるとイヤハヤこれがまたジツに美味いのである。そういえばコレをお裾分けしてあげた母君も「ナスは金っ気を嫌うからねぇ」と発言していたのを思い出した。
特にヌカミソ漬は水なすの特徴がよく生きていて、ジューシィな身肉を味わうには手で裂いて食すコトは不可欠な作法である。前歯で噛むとプチっと切れる鉄紺の皮は柔らかく舌触りも大変によろしい。そして追いかけてくるように拡がる茄子の風味と旨みを含んだ水分… Gが焼酎を指定してきた意味がよく解るというものだ。
裂いたばかりはクリーム色に淡い緑が美しかった水なすの肉は見る間に茶色く変色してゆき、その鮮度と香りがヌカ床の中でしっかり保持されていたことが証明されている。色が変わらないうちに美味しく食べてしまおうと慌てて口に運ぶので、大きな水なすも一本はあっという間に無くなってしまう。

焼酎はこの漬物にベストマッチな酒であったがビールにもテを出してみたくなった。恵比寿麦酒の2009年限定醸造は長期熟成タイプで、元々リッチな苦みとふくよかな香りが特徴のYEBISUはより深みのあるものに変化していた。
茄子の青々しい香りをビールの苦みでリセットしては再び楽しむというマコトに以ってゼイタクなひとときなのである。
「あ〜、いいキモチ♪」
美味しいとか嬉しいという感情を通り越して、そんなココロ持ちになった昨晩なのであった。





野菜図鑑「なす
http://alic.vegenet.jp/panfu/nas/nas.htm







今朝の富士山
こんな日は日の出と同時に真っ白になりシルエットさえ見えなくなります
このカスミがなくなる頃に梅雨明け

2009.06.26. 04:20 @Mannohara, Fujinomiya-City