いよいよシーズン『茹で落花生』

少し前からポチポチ出始めてはいたが、いよいよ本格テキに出荷シーズンを迎えた落花生だ。市販のお値段は1kgで¥900前後か…、できるだけ掘りたての新鮮なモノの方が当然甘みも香りも強い。

生産者の性格もあるのか泥付きのまま売られているものもあれば、すっかりキレイに洗い流しそのままナメても大丈夫なくらいまで洗浄してネットに収められているものもある。
たまたま購入に行ったスーパーでは後者ばかりが並んでいて選択の余地はなかった。アト始末はキレイなモノのほうがいいに決まっているが、鮮度を確認しやすいのは泥付きの方で一長一短なのである。幸いなコトに購入した生落花生は極めて新しく、黒変・腐敗など一つもなかったのには大いに満足だ。
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呼び名もイロイロあって南京豆や地方によっては地豆などと云うところもあるらしい。ピーナッツと呼んでしまうと乾燥した豆のイメージが強くなり、加工されてバターピーナツやピーナツバターといった脂肪分の気になる食品に即変貌してゆくような気がしてならない。


面白いもので茹でた落花生は生の状態からあまり栄養価の変化は見られずビタミンCも多く含まれているが、乾燥させたり炒ったりバターピーナツに加工するとカロリー・脂質・蛋白質などはほぼ倍近い数値となり驚いてしまうのである。ビタミンCに至っては壊滅状態で、やはり野菜なのだなぁと改めて思うのだ。
逆に加工品はコンパクトな保存食として高い栄養価を持っているので、非常用のカンパンの缶詰などに数粒含まれていることにも頷けるハナシなのね。


茹であげてスグに食すなら一時間余の加熱時間が必要になるが、30分程度で火を止めそのまま煮汁に浸したままゆっくりと冷ましてやると余熱で火が入るのと同時にいい塩梅のショッパさになるのだな。
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そして誰がなんと言おうと圧倒テキにビールなのだ。
ちょっと涼しくなりかけた夕方など、縁側に腰かけてはコイツをつまみに冷えたビール…、もう天国以外の何物でもない。まだ夕食前だと云うのについつい食べ過ぎ飲み過ぎに陥り「夕飯?ボクはもーちょっとアトにするから」などとロレツの回らない口調と赤い顔で告げようものなら家族からはヒンシュクをかってしまうのである。あ〜、しかし止められないんだなぁ…


もう一つのお楽しみはたいてい一緒に入っている未熟な落花生なのね。
コレは“しなす”とか“しいな”と呼ばれる落花生のベビィちゃんで、やわらかくて美味しいのだ。フニャフニャとした皮を破るとまるで陰核のように現れ、ソレをナメるように口に運ぶ様は極めてエロティックでもある。
実そのものそうだが殻の内側がゼリー状になっていて落花生の香りの付いた塩水を含んでいるので、チュウチュウと吸い込む楽しみもソレに似たものがあり堪えられない。
産地ならではの食べ方でもあり、冷凍茹で落花生が全国テキに拡がりつつある今でもこの部分だけはマネの出来ないお愉しみなのである。スキな方は八百屋に「“しいな”の多いところをくれ」などと予約注文したりするらしいが、誰もそのヒトをエロおやぢ呼ばわりはしないのだ。というか、こんなヤラしー想像をするのはボクだけか…