南鮪の照焼とアサリの酒蒸

新酒に合わせる肴で苦労した前日だが、よく考えてみるとナニも地魚だけにコダワる必要はなく、春ならば“貝”というテがあるではないか…と、己のバカ加減にいささか呆れるのである。


しかもココは浜名湖という名産地が西に控えていて、そんなにアタマに血を昇らせなくとも容易に春の旬が手に入るのだ。魚屋の店先に行けばピューピューと潮を吹いている元気なヤツがあって早速購入してきた。
粒も大きく多分ナカミもぷっくりと肥えていて美味いに違いない。ココは“酒蒸し”にして楽しむのが一番だろう。
まぁソレはソレでオッケーなのだが、まさかアサリの酒蒸だけで食事を賄うのはちょっとムリがあって何かホカに一品くらい作らなければならないのだな。ドレドレと冷凍ストッカーをガザゴソやると、以前から気にはかかっているもののナカナカ手出しできないでいる大物が転がっているのよ。ストッカーの中でもゴロゴロと容積を食い、正直言って「ジャマな存在」とさえ思えていたモノは“ミナミマグロ”の背肉ブロックなのである。知人からいただいたソレは1kgほどの重量があり金額としてもハンパなものではないことは判っている。しかしソレだけ大きいとヨケーに敬遠気味となり数カ月も待機させてしまったのだな。


刺身用の部位ではないので煮るか焼くかしてね…と渡されたのも挑戦へのフンギリを鈍らせていたかも知れない。しかしヤルときはヤラなければならないのだ。お〜し、ちょっとキアイを入れてスタートである。
表面を軽く炙ってから甘辛い煮汁で煮込んだ。骨も付いているせいか脂が大量に滲み出てきて煮汁に層を作る。コラーゲンも抽出されているかもしれないなぁなどと思いながらも煮汁に用はない。火が通ったところでオーブンに入れて焼くのである。いきなり焼いても時間がかかるばかりだし、味も中までシミていないので生臭みも出るだろう…という予測でこんな手法を採ったワケだが、コレはなかなかに正しい判断だったようだ。
ミナミマグロの強烈な美味しさが中にギュッと閉じ込められたままジュウシイな身肉が弾力を保って焼きあがった。箸を入れるとホロリとハガレては焼けた醤油の香りを発散させる。
う〜んサイコーに旨いっ♪ もしかしてボクがこれまで食した照り焼き系焼き魚の中ではダントツの一等賞かもしれない


ソレもそのハズさ、何と言っても旨みではトップランクミナミマグロなんだから。そいつを焼いて喰ってしまうなんぞゼイタクの極みと云っても過言ではないだろう。
アサリの酒蒸だって上出来でとても美味しかったが、なにせコイツの前には申し訳ないがすっかりカゲが薄くなってしまったようだ。ごめんねアサリちゃん…
福井の新酒はチカラ強い味だったので淡白な白身魚などでなく、こうした魚料理は偶然にしろスバリの相性だったのである。特別純米無濾過生原酒か… 佳い酒だ。






美川酒造場
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