みちのくの名品『弁慶のほろほろ漬』

“ほろほろ”などとおよそ漬物には似つかわしくない形容詞にちょっと気を引かれて購入してみた岩手県奥州市のお漬物である。

しかも弁慶という名も冠していて、京を追われ加賀から東北への逃避行をした義経に帯同していった彼の名はこんなところにも残っているのだなあと「弁慶の立往生」も含めた義理人情勧善懲悪忠義報国モノがスキなニッポン人の人気度合いが判るというものだ。
そういえば義経にしても弁慶にしても奥州平泉では命を落とさず更に北の蝦夷地へ逃れて行った…などこのテの伝説はキリがないくらい各地に残されていて北海道でもそんな碑などを見たことがあった気がする。
ソレより面白いのは、かつて栄華を極めた藤原氏がその本拠地とした平泉…奥州市より有名?…は現在の人口は8千人と意外なほど小さな町であるのに対し、ほぼ隣接する奥州市は約12万人と盛岡市に次いで岩手県第二の都市に成長していたというのが時代の流れというか栄枯盛衰を感じさせてくれるのだな。
藤原氏が支配していた時代の人口は10万とも15万人とも推定されていてエライ違いに驚くと同時に、没落が始まった鎌倉時代を境にリッパな造宮物なども次々に失われていったと云うことに(今に残されているなら見てみたかった)というキモチを強くした。江戸期にココを訪れた松尾芭蕉藤原氏の居館のあった場所が荒れ果て野草に埋もれている様子を
「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」
と詠み、また中尊寺金色堂では
「五月雨の 降(ふり)残してや 光堂」
などその哀れさを一層強調するような名句を残している。

そんな歴史テキ背景を今に残している奥州市にこんな美味い漬物があるのだな、いや〜美味くてビックリなのであった。
原料には人参・胡瓜・大根・茄子・紫蘇葉などが用いられ“もろみ”と唐辛子で仕上げてある。当然けっこー辛い。
そうか、この名はさしもの剛腕・弁慶さんもあまりの辛さにホロホロ涙を落した…とでも例えたのであろうか。う〜ん、きっと弁慶さんは辛いモノにちょっと弱かっただけなのよ、とボクは言いたいな。
どうだろう、同じ岩手県出身のもう一人の剛腕君もコレを食して涙を滲ませたりするのかな…などとクダラナイことを考えたりもしながら、グレーゾーンだと言われる彼にもこんな素晴らしい食べ物を輩出する故郷があるではないか、ここはぜひ豊かな水の国・日本を再生するために農林水産業の復興に余生は尽力して頂きたいものだと思った。
同じ辛い系であっても流行りのラー油のように料理全体をチカラでネジ伏せ支配してしまうようなこともなく、ふくらみのある旨辛さが光るお漬物である。かなり気に入った。





有限会社只勝市兵衛本店 (タダカツイチベエホンテン)
岩手県奥州市江刺区愛宕字林234−2
TEL=0197-35-4828  FAX=0197-35-2798




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7:31AM, November 14. 2010. @Fujinomiya-City