慌てて楽しむ『春の山菜』

朝霧高原をウロウロしているとミョ〜なところにクルマが停まっていて(いったいこんなところでナニをしているのか…)と訝しんでしまうコトもある。興味深々に中を覗き込むと若い男女が…などといったことはなく、たいていは誰も乗っていないのである。

そう、この時期は山菜を採取する人々が沢山ココを訪れるのだな、なにせカッテに生えてきた野草だし全部タダなのだからソレを逃すテはないのだよ。そーゆーオマエは何がモクテキでそんな場所に行ったのか?と問われれば「いちお〜シゴトで… ええ、ロケハンってヤツです」とわなわなとうろたえた口調で…いや、そんなことはありませんからね、正真正銘陰日向なく堂々と御先祖サマに恥ずかしくない行為としてキッパリ明快に答えるのである。
ボクの知人も春になるのを待ちかねたように出かけては山菜をテにしてくる。ワラビ、ゼンマイ、コゴミ、タラの芽… 気が向くとワラビは茹でてアク抜きした状態で持ってきてくれたりもするのでジツに有難い。この日は「タラの芽をたっぷり採ってきたぜ!」と意気揚々当家にやってきたのだ。

おぉ〜コレはウレシいではないか、こりゃ天ぷらで一杯…う〜んオマエは酒を飲むことしか考えないのかっ!とお叱りを受けそうだが、正直なキモチを申し上げてドコが悪い!?と開き直ったりもするのだな。
天ぷらはいいのだけれどもタラの芽単品というのもなんだか寂しいハナシじゃん…と農民市場に走りその他の補足食材を購入してくるエロおやぢだ。この日はタケノコとコゴミが入荷してたので即購入である。
お〜し役者は揃ったなあ。タケノコは二本で¥200、コゴミは1袋¥160であってずいぶん安上がりなギャラで済む。コレもタダのタラの芽に友情出演というヤツなのか。
コゴミはオヒタシにするのが一般テキだが天ぷらもかなりイケる、というかソレが一番スキかも知れない。ボトムのジョキッとした歯触りに続き噛みしめているとネットリとした春の苦味がはんなり拡がり「あ〜シアワセ♪」なのである。もちろんタラの芽のホッコリした旨味に山野の若々しい香りがパ〜ンと乗ってくる様子や、甘み・香り・食感の三拍子がピシリとキマっているタケノコも美味い。三者甲乙つけがたいヨロコビがある。
そしてこーゆー山菜の天ぷらを食す場合は“天ツユ”などといった演出は不要なのであって、スポットライト一本勝負…つまり“塩のみ”でその研ぎ澄まされた深い演技を堪能すべきなのである。もちろん塩はフツーのものではなく産地ブランド数種類用意してあるいつものセッティングだが、今回はそれに気鋭の新人数名を加えて豊かに繰り広げるのである。えへ、新人の詳細はまた後日ね…

しかしタケノコは安いからと言って2本も購入するとけっこー量が多く、とても天ぷらだけでは消費し切れないのである。ヌカで茹でて水に浸し冷蔵保管すれば多少は持つが、やはり香りよく甘みの失せないうちに食したいではないか。
昨年お試しにやってみてナカナカに気に入ったので今年もキンピラを作った。こういうひと品は思いっきり濃い味にした方が美味いのであって、中途ハンパは禁物だ。このまま酒の肴、ゴハンのお伴、ラーメンのトッピングなどにも使えて便利である。そうか…中華風に煮て自家製シナチクみたいなものにするのもいいかも知れないなあ。

キンピラと対極を為すのがこの京風の煮物である。新ワカメを添えれば『若竹煮』となってタケノコ・ワカメ・山椒の新芽の3P…違うっ!三位一体戦略にエロおやぢはメ〜ロメロになってしまうのだが、今回は正直に言うと新ワカメを買い忘れていたのでデュオにするしかなかったのよ。
しかしコレだって上等なのである。濃くひいたカツオと昆布ダシで淡口醤油を用いて仕上げる関西風な筍の煮物は、非常に繊細な記憶となって脳裏に刻まれてゆく。
ゴハンのオカズには関東風に甘辛く煮付けたものがよく合うが、こうしてはなはなとした香りと旨味には麹の風味が淡い系の純米酒が上手に向き合ってもらえると云うものだ。美味くて美味くてつい飲み過ぎてしまうので意地汚い飲兵衛はセーブする精神力をかなり試される。


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ご近所散歩…
あのカナメモチが白い花をつけていました



Afternoon, May 03. 2011.