信州蕎麦の本懐 2011 『手打ち蕎麦』@信州須玉・有井館

今日で連続降雨も五日目となる。秋の長雨…と呼ぶにはちいとばかし早いかな、フツーならまだジリジリ残暑イライラさっさとキンキンに冷えたビール持って来い!の時期だろうが拍子抜けするくらい涼しくて、アセかきちょ〜暑がりのエロおやぢには大変都合の良い日々である。

そんな雨天にもメゲず信州までクルマを飛ばして蕎麦を喰いに出かける酔狂なオトコもいるのだな、ええボクのことですよ。いや〜いろいろありましてねえ、たまにはキブン転換でもしないとバクハツしそーになってしまったので逃げるようにミもココロもスッキリさせに行った21日の日曜日である。
それと諸兄とお話をさせていただくうちに、以前に一度食した蕎麦を思い出してムショーに喰いたくなってしまったのもある。アレは本当に美味かったのだろうか?という一抹の不安を払拭するためにもう一度確認に行きたい…というキモチもあった。
そのお店は2007年にボクの日記で「信州蕎麦の本懐」というタイトルで記した信州の山あいにある民宿である。スレ違うクルマも殆どなかった本谷川渓谷を通り到着したソコには紫がかったピンクの百合が雨の中に咲いていて、四年振りに訪れたボクを迎えてくれるのであった。

本業は金峰山や瑞牆(みずがき)山へ向かう登山者の宿であるが、ご主人の打つ蕎麦がいつのまにか有名になって“知る人ぞ知る”というカクレ名店になっているらしい。ボクはたまたま革工房メリーマックの石原氏より情報を得たので知ることが出来たものの、そうでなければ立ち寄ることはおろか見つけることさえなかったような風情のお店でもある。
従って提供する食事は「もり蕎麦」のみ。天ぷらなどというシャレたものは当然なく、献立は並盛¥700と大盛¥1000だけ。ジツに明快である。

ただし(ちょっとぉ…そのお値段、少し高くない?)と最初は感じるのである。無理もない、都市部の名店と呼ばれる処でさえ並盛なら五〜六百円が相場だ。シツレーな話だが山あいの民宿の座敷の一角で食す蕎麦がこのお値段というのはフツーは考えにくいものである。
ところが蕎麦そのものを食せば納得できるばかりでなく、蕎麦と一緒に運ばれてくる数種類の惣菜が蕎麦オンリーという単調さを救ってくれて満足なひと時を得ることが出来るのだ。
上のフォトは一番奥上から時計周りに ぜんまいの煮物、山うどのおひたし、モロッコいんげんの茹でたもの、月見草のおひたし、大根と胡瓜の糠漬の五種類がリアルレトロなアルミ盆に載っている。ぜんまいとモロッコはオプションで追加したものだが残りの三つはデフォルトである。どれも本当に美味い。全てこのお店の周囲で採れた野菜ばかりだという。月見草の花が食べられるとは思ってもみなかったのでヴィジュアル的にも佳いばかりでなく、オクラのようにトロリとしたネバリが出ていてオドロキの美味さなのであった。
肝心な蕎麦の話をしよう。ツユはもー笑っちゃうくらい相変わらずのやつである。生醤油の水割り?みたいな味気なさ…。しかし蕎麦切は自家製粉しているだけでなく、蕎麦そのものもコチラの畑で栽培したものなのだという。そうか、カンペキな地粉ってワケなのね。

それを十割の打ちたて茹でたてで提供してくれるのだ、美味いに決まっているではないか。それにしてもこのツユはないよなあ…と思うのはトーシローである、とエラソに講釈をたれるのさ。コレはきっとご主人の蕎麦打ちとしてのコダワリというかプライドというか、良いイミでの押し付けと言ってしまっても許してもらえるかな。
それはこのお店の蕎麦にお約束のワサビが添付されていないことに解明の糸口を見出すのだな。卓に蕎麦を運んできながらお店のオバちゃんが「ワサビをつけるとねぇお蕎麦の甘みが飛んじゃうからと言ってね、ウチのおとーさんは唐辛子を使えって」と粗挽きの一味唐辛子をそっと差し出すのである。そうか、このツユは蕎麦そのものの香りと甘みをひたすら追求したが為の産物なのか!と合点するのである。そうそう、辛味大根のおろしもサービスで出してくれて、こいつがまた嬉しかったなあ。
そしてもう一つのお楽しみは食後にそのツユへ蕎麦湯”を注いだときにパッと開花する。全てが一本となってこのお店の蕎麦ロジックの解を導き出してくるシカケもそのままだ。よかった…やはり間違いなくココのお蕎麦は超一級品だ。
そんな満足感をムネにお店を後にするのである。また来たいなあ、新蕎麦のころにでもさ…



民宿 有井館
山梨県北杜市須玉町小尾8872-12
TEL=0551-45-0455 FAX=0551-45-0632
MAP




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信州峠から野辺山方面へ
レタス栽培の斜面一角にはいつもの蕎麦畑
雨の中だけど蕎麦の白い花が満開



August 21. 2011. @Shinshu-Touge Pass   MAP











ムー吉殿
おぉ〜お久しぶりですな、こんにちは! お元気でしたか…
そうなんです、もう耐えられなくなるんですノ(´д`*) で、一人で逃亡するんですよ(笑) ムーさんちはオトコがいるから未だいいけどさ…
いや〜冗談で話しをするんですけどね、このお店に行くときはこっそり桃屋のツユを持ってゆけ、とか(´▽`*)アハハ いやいや面白可笑しく書いてますけどね、あのツユは必然から生まれたものですよ。
あ…でも塩くらい持参してもいいかな〜(≧∇≦)b



かぶちゃん
羨ましいなあ、手造りベーコン♪ 神戸に持って来いよぉ(笑)
こんにちわ! その新得のお店がどんなレシピだったのかは判りませんが、以前に十割蕎麦の茹でてから時間の経ったものをいただきましてね、もうボロボロ(笑)
打ちたて茹でたてはしっかりしてるのにね、ちょっと時間をおくとダメになってしまうみたいです。ムカシから「蕎麦は三たて」って云うのがよ〜く解った次第。科学テキに説明すると「加熱されアルファ化した蕎麦のデンプン質が再び結晶化して老化=キレやすくなる」ってことかな、つまり太い細いは麺の破断強度とはカンケーないみたいね\(≧▽≦)丿



Lotさま
サッサと食べないと悲惨なことになる蕎麦(笑)
おはようございます! そうなんですか…地方によって伝統や技術伝承が違うのでしょうかね。コレでフツーだと思っていたので、そう言われるとなんだかヨケーに有難いものに感じますよ (´▽`*)アハハ
柔らかな風味を生むナラを始めとした広葉樹、一方チカラ強いサクラは肉類のスモークに向いている…と言われますよね。きっと美味しいベーコンに仕上がるでしょう\(o^∀^o)/
造っている時も楽しいものですが、その成果を酒とともに祝う時間がサイコーですよね!