農家レストランの『よもぎうどん』

山梨県にはクライアントもあるのでちょくちょく出かけるが、甲府市方面に向かう時は朝霧高原-精進湖ブルーライン-甲府南というルートを辿ることが多い。
かつてはその途中に上九一色村という面積の広い村があったが現在は地区ごとに分割されて甲府市富士河口湖町編入されている。例のオウム真理教事件で有名になってしまったのでその名を忌嫌うヒトが多いのか地名として残っているものは少ない。本当は歴史的にもきちんとした意味を持つものなのに単なる犯罪者集団の引き起こした事件のためにその名が汚されてしまったのは誠に残念なのである。

そんな数少ない地名が甲府市の古関町にいくつか残っていて、甲府市の上九一色出張所・上九一色保育園・上九一色郵便局などがある。何年か前にその中心部に「上九の湯ふれあいセンター」という温泉施設が開業したと思ったら、その敷地内に「上九ふれあい農産物直売所」まで出来てしまった。
なんでもかんでも「ふれあい」という名をつけたがるイナカ発想には辟易しているが、地産の新鮮な農産物を扱う施設には興味深々。ただココは通過ルートなのでいつも横目で睨んではパスしてばかりであって、一度くらい様子見に立ち寄ってみたいものだと思ってはいたのだな。

先日のシゴトは時間にヨユーがあったのでようやくそのチャンスが巡ってきた。そう、家を出発する前から(昼めしはアソコだぜ)みたいな決心をしていたのよ。
建て屋の半分は厨房というレイアウトのためか農産物の販売スペースは意外に小さかったが、棚に並べられている商品を見ると味噌や惣菜などの手造り加工食品も多く、厨房設備に重きを置いているのにも納得なのであった。
さてお楽しみの“農家レストラン”での食事だ。建物の壁面にそう大書してあったのでどんなもんかとワクワクしていたら小さなイートインスペースが在るだけだった。おいっ、誇大広告でJAROにチクっちゃうぞ…なんてヒトはいないんでしょうね、でもせめて“地元食材のお食事”くらいにとどめておいて欲しかったなあ、まあいいか。
メニューは「野菜カレー」に「とろろめし」そして「よもぎうどん」の三種類だけ。カレーはしっちゅう喰ってるし、トロロも美味いヤツを静岡市内で喰ったばかりだしなあ… おぉ〜「よもぎうどん」か、ちょっと変わってていいじゃん。天ぷらつきは¥500とお安いのも有難い、ソレにしようではないか…とお願いした次第である。
後に知ったことであるが、この地区は“よもぎ”の栽培が盛んで「よもぎまんじゅう」みたいなものが名物らしい。うどんにもソレを練り込んで…というのは近年全国テキにムダな増殖を続けているエセB級グルメなどではなく、ムカシからこの村で供されてきた伝統食品なのである。

もっとヨモギの香りがブンブンするかと思ったら、奥の方からはんなり淡く感ずる程度で非常に心地よい。うどんも流行の強コシもっちりタイプではなく、柔らかでふわりとしたスタイルだ。おダシの具合が山梨県らしい魚介控えめタイプなので逆によもぎうどん麺の風味や天ぷらがイキイキとしている感じがする。う〜んコレは美味いぞ。
インゲンや人参・玉葱のかき揚げ、セリの天ぷらが添えられ、ダシにはやはりこの地名産の生椎茸スライスがたっぷり… 美味しい漬物の盛合せまでついてワンコインは超お値打ちだろう。キュウリと人参のヌカ味噌漬はスタンダードだが、唐辛子味噌が乗せられた刻み茗荷やアメ色に発酵した上九菜の漬物がサイコーに上手い。困りますねえ、酒が欲しくなってしまうではないか。
メニューは少ないがこの土地の幸がぎっしり詰まった献立にはとても好感を持った。なにもムリしてB級グルメの新作などを考案する必要もないだろう、どの土地にもこうした食文化がひとつくらいあるものだ。
求める方もそうしたものをしっかり受け止められるよう日ごろの精進が必要かも知れない。思わぬところで学んだ。



上九ふれあい農産物直売所
http://www3.ocn.ne.jp/~kamiku/
山梨県甲府市古関町1154-1
TEL=0555-88-2138
ACT=08:30-16:00 木曜定休

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どうにも不安定なお天気ですな
台風接近中の典型テキ気象は強風雨と小康状態の波状攻撃
そんなお天気のスキを衝いてムクドリたちが集まっていましてね
まるで身の処し方を探っているかのように



Afternoon, September 20. 2011. @Fujinomiya-City