ボンクラに生きている者のための『鶏の唐揚丼』

まだ大学生だったころアルバイト先の社員さんに連れて行かれた食堂は県中部の小規模都市を貫く国道の傍にあって、トラックが通ると店全体がガタピシと揺れるような安普請の建物だった。
ボクはそこでカツ丼を注文したような記憶がある。何も考えずにとにかくガツンとハラいっぱいになりたかった。デコラテーブル+パイプ椅子+コンクリ床というお約束みたいな客席の頭上には14インチのカラーテレビがガンガンと盛大な音量を発して「いいとも〜♪」などとやっている環境にはウンザリしたものだが、サッサと喰って胃袋を平安なキモチにさせてやることの方が優先順位は上だった。
他のバイト先とは違ってその会社の30歳くらいの社員さんはそのころ給料も安かったのだろう、バイトのボクに昼めしをおごってくれるなどということはなく、それぞれ食したものをジブンで支払うというのはいつものことだったので何とも思わなかったが、年寄りでもないのに注文した料理を全部平らげずに残していたのが気になっていた。しかもグチャグチャと突いたように汚ない食べ残し方には少し軽蔑したくなる気持ちになった。
そんなことよりいざ自分の支払いの段になってポケットに手を突っ込んで札を取り出そうとすると汗でそれが生温かく湿っていた上、刻んだタバコの葉がたくさん付着していた。ハッと思いさらにポケットをまさぐると折れたタバコが指先に当ってザラザラとした感触が伝わってきた。今のようにハードボックスではなくソフトパッケージが主流だった国産タバコの哀しさでもあったが、高価な洋モクまでは手を出せなかった青年時代だ。

冷蔵庫探索によって出てきた残りモノ鶏の唐揚をサッと煮てタマゴでとじ、ダダッといい加減に丼ゴハンの上にのせてやれば出来上がりだ。ジツにテキトーに仕上がっているのはヤル気の問題であって本当はフォトなどに撮ってヒトサマにお見せするようなものではない。シゴトの合間の昼めしは総じてこんなもんであるが、これをわしわし食べながら若かったころを思い出したりもしたので…というイキサツである。
当時に比べると今は何もかもが恵まれている。美味い料理や酒も知った。タバコだってハードボックスを洒落たカバンに入れ持ち歩くので折れたりなどはもちろん汗でシケったりすることなどない。10円玉を大量に準備して公衆電話から彼女の家に電話をかけ、受話器を取った父親の声にビクビクする必要もないケータイだって既に当たり前の持ち物だ。360cc2サイクルエンジンの非力な軽自動車もただの思い出に変わり、ナニ不自由のない美しい空間を持つクルマが日常テキ生活にある。変わらないのはカネがないことだけか、ボンクラに生きていたからなあ。それでも次元の遥かに違う生活になった。
しかし何かが足りない…と云うか失ったと云うべきか。今年はそれを取り戻すつもりになった。あまりにつまらない『鶏の唐揚丼』が気付かせてくれたのだろうか。



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Sora



4:26PM, October 16. 2011.











チャッピ〜☆彡さん
こんばんわ! そういえばジブンだけ買ったよな〜「食べるわかめ」(≧∇≦)b

美味しかったですか? ボクも味見すればよかった(笑)
それにしてもバレましたね、先日のインゲン(´▽`*)アハハ げに恐ろしきオンナのカンか… あ、コレって冷凍してもけっこーイケるんですよ。
冷凍食品のインゲンは味もソッケもないけど、ジブンで作ったものは香りもいいし(^o^)v ただし長期保存にはあまり向かないみたい…
お天気は下り坂ですね、もう雨がポツポツきてます。朝はいちおー富士山は撮ったのですが、こんな風になんだかサエないもので大きくアップしませんでした。



Lotさま
初めて所有したクルマはミツビシのミニカでしたよ(笑)
2サイクルの360cc・2気筒、SOLEXの二連つまりチョーク仕様、2スト・オイルが別タンクにあって4MT、 (´▽`*)アハハ 三角窓つきの2ドア・ハッチバック、よく走りました。120km/hくらいしか出ませんでした。アクセルベタ踏みで長時間走るとオーバーヒートしたし\(≧▽≦)丿
でも楽しかったなあ〜 多分そのクルマのフォトは実家にあるかな、そのうち探してみよ。