タコほど小バカにされている動物もあまりいない気がする。ニッポン人はヒトを罵倒する表現で「このタコ!」などとも言ったりする。それより西欧諸国では悪魔の使いとか夜中に婦女をレイプしにやってくるなどネもハもない中傷・悪意のある伝説で忌み嫌われているのは哀れなのだな。大学時代の友人がパリから絵ハガキを送ってよこしたが、それには生のタコを頭にダラリと乗せて暗い顔をしたオトコの写真が印刷されていて、なにか言いようのない可笑しさとブキミさがありハラを抱えて笑った。そんな絵ハガキをセレクトした本人は「こーゆーものを面白がるフランス人のセンスが愉快」と述べていて、アチラでもタコはやはりバカの象徴なのかも知れない。
もっとも図体はデカくても脳ミソは小豆粒くらいしかないというから実際にそう高等な生物とは言い難いかもしれないけれども、海洋ドキュメンタリなど視聴すると変態の素早さとか繁殖子育ての細やかな愛情表現行為に侮れないものを感じたりもする。
そんなタコも韓国では人気者らしく、済州島に行ったときには岩場で捉えた活タコを海水をはったタライに入れてオモニたちが威勢よく売っていた。面白半分に一匹注文するとオモニは目の前でそいつをバンバンとブツ切にして皿に乗せてよこした。クネクネと動いているタコの脚をゴマ油やコチュジャンをつけてクチに入れるとホオの内側や舌に吸盤が張りついてイテテだけどめっちゃ美味い!などとジツに珍妙な体験をしてきた。
さて先日いつもの宅配カタログで『タコキムチ』というお惣菜を見つけたので、またもや面白半分に注文してみた。きっと作る方は面白半分などではなくシンケンに仕込んだに違いない、ゴハンに乗せて食してみるとタコの旨味が生きていて美味いのだ。キムチというより、どちらかといえばチャンジャ(=タラの内臓のヤンニョム漬)に近い。
ホントは湯豆腐に乗せて食してみようと思っていたが、なんだかメンドになって真冬なのに冷奴にしてしまった。まぁお部屋も暖かいことだしヤッコも悪いものではない。それよりこの食べ方、なかなかにイケます。ホットなキモチになりますね。そして熱燗があればもっと…
今朝の富士山
南側斜面は少し白くなりましたが、それより地表はバリバリ…