浮世絵版画摺り体験をしたら『炭焼きハンバーグ』が待っていた

居酒屋でキモチよくなっても翌日の美術館行きのことが頭から離れずにいて酒をセーブしたせいか比較的健康な朝を迎えたこの日である。ちょっと行きたいところが…ってのは、そう由比にある「東海道広重美術館」のことだったのね。

由比は桜海老漁の港として有名で、その桜海老やシラスそして海産物を手に入れるためにときどき行く町である。何年か前から広重美術館のことも知っていていちど訪れてみたかったのだけれどもなかなかいい機会がなくてムズムズしていたが、ここにきてようやくそういった機運に恵まれたのよ、いや〜嬉しいじゃありませんか。おっとその前に宿泊したホテルで朝食を摂りしっかりハラごしらえをしないと一日が貧しいものになってしまうからね、一年の計は元旦にあり、一日の計は朝食にあり…ってホントかよ。
ここの朝食ブッフェは規模は小さなものだけどなかなかにツボを得た品揃えと質が保たれていて好きだ。それに緑茶が数種類置いてあったりコーヒーの部屋持ち帰りがオッケーだったりして非常に気が利いているところも気に入っている。

さあ、しっかり朝めしを喰ったら出発だ。以前は庵原郡由比町だったこの港町は現在は平成の大合併とやらで静岡市編入され静岡市清水区由比という所在地名なのだ。
以前から県東部で暮らしているボクにとって違和感アリアリなんだけど、まあそれもトキの流れってやつで、若い連中にとってはベツに何でもないことのひとつだろう。あぁドッチでもいい話題に脱線気味ね…元へ。
その「東海道広重美術館」は静岡市が運営する美術館で、その名の通り歌川広重の作品をメインに1300点を超す浮世絵版画がコレクション展示されている珍しい美術館だ。

ボクがコドモのころは東海道五十三次の浮世絵版画といえば永谷園のお茶漬けの素のプレミアムだったわけであって、作家は安藤広重ってことになっていたはずだ。ところがいつの間にか彼の名は歌川広重に変わっていて、まあいろいろと歴史認識の変化というか新しい解釈にとって変ったとでも云うべきか、これも時代の流れなんざんしょ。
もちろん広重作品をたっぷり堪能してきたわけなんだけどもっと面白かったものが二つあって、ひとつは浮世絵に魅せられたイギリス人写真家クリス・スティール=パーキンスの「富士40景」という企画展なのである。フツーは観光絵葉書テキな富士山のフォトを好むニッポン人が多いのだが、彼は工事現場から見る富士山とか工場群のスキ間から望む富士山やとてつもなくキッチュでアジアチックな人工物をポイントに置いた富士山フォトが数多く展開されていて、日頃富士山をカメラに収めることの多いボクにとって目からウロコ状態だったこと。
もうひとつは美術館のラウンジで浮世絵版画摺り体験をさせてくれていたことである。有料¥300とはいえ二種の浮世絵版木とボランティアさんがつきっきりでサポートしてくれて版画紙は三枚、リッパな紙ケースまでいただけることを思えば非常にお安い体験料なのである。大好きな“雪の蒲原”そして“薩埵峠(由比)”を摺り、ジツに面白い時間を過ごしてきた。

静岡市東海道広重美術館
http://www.yuihiroshige.jp/


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さて、そんなこんなで昼めしの時間がやってきたわけである。しっかり朝ごはんを食してきたのでそうハラペコなわけではないのだけれど、先日母君をお連れして誕生祝いをして差し上げた“炭焼きレストラン・さわやか”なんてどーかな〜なんて同行者にその旨を打診するとイチもニもなく同意なのであった。

それはそのレストランが静岡県内にしかないことやメガニスト諸氏の間でも評価が高く、美味いという話をブログやミクシイ日記でよくメにするものだっただけに同行者も一度は行ってみたいものだと思っていたからなのね。あぁよかった、やっぱり食事って求める方向が違うヒトとは一緒の行動は出来ないものなのよ。
メインはハンバーグステーキであるが、ここのコーンポタージュスープは非常に美味しい。安価なセットメニューについてくるものとはとても思えないクオリティーがあって、美味しさの連鎖ってものがここから始まってるんだな…と思うのよ。
そして例によってキッチンで炭焼きされたハンバーグは熱い鉄板に乗せられて客席まで運ばれ、ウェイトレスの手によって真っ二つに割られてその鉄板にギュウと押し付けられるのだ。
ジュ〜ッ!と立ち上る油煙、そしてオリジナルオニオンソースが回しかけられ更にジャジャ〜ッと拡散する音と香りの演出が、席に着いて食すときを待ちわびている客の期待感をイッキにマックスまで持ち上げる。

似たような提供方法を採っているお店はいくつも知ってはいるけれどここより安いお店はない。そしてとっても美味しいのだ、どーだ文句あっか〜!みたいに問答無用の圧倒的ステータスが存在する。
ソースのハネが落ち着いたころ、手前でブロックさせていたペーパーを鉄板の下に納め、そしてようやくナイフとフォークを使うことが許されるのである、もうジレったいったらありゃしない。だからきっとヨケーに美味しく感じるんだろうなあ、ニクいじゃないか。
お店のオススメは未だ中心が赤いくらいのミディアムレアである。優しい舌触りの生ニク部分と焦げて香ばしく変化した外側のコンビネーションに醤油ベースの素晴らしいソースが絡む快楽。

ああ、本当に美味しい。そしていつも思うんだけど、やっぱりもう一つ喰いたい。ダブルってメニュー作ってもらえませんか?さわやかさん。よし、今度アッシー君同行でヨルにゆくことがあったら思い切って単品げんこつハンバーグを二枚注文しちゃおうではないか。もちろん相棒はぐびぐびのビールに決まってるじゃんよ。

そしてなんだかナマエは忘れてしまったけど、オプション追加したこのデザートパフェがとっても美味しくてユニークだったこと。まあ今時はどんなチェーンレストランに行ってもクチの肥えた女性客が増えたせいかデザートは美味しいものが多いけど、アイスクリームに添えてある焼き菓子がここのはコーンフレークやウェファースあるいはポッキーといったものでもなく、なんとあのサンリツ源氏パイなのである。いや〜ビックリですね。
さわやかさんもサンリツさんも同じ遠州の企業、こうしたコラボレーションも新鮮でいいではないか。なかなかに研究熱心で発想豊かなものをお持ちの商品企画部なのかな。
版画摺り体験と『炭焼きハンバーグ』、フィニッシュも楽しい一日なのであった。


炭焼きレストラン さわやか
http://www.genkotsu-hb.com/




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