お墓参りのあとは『季節の小箱膳』

お盆の恒例行事・墓参りである。13日はちょうど“盆の入り”だし天気予報もピンポイントで良好と踏んで清水のお寺に向かった。

ところがいい天気過ぎてアセダラ、まあ風雨よりマシだけどね。お墓の清掃や生花など供えお線香もあげて無事終了、塔婆も新しいものになってキモチがいいのである。
ところでこの塔婆ってやつね、他の地域ではそーゆー風習はないのかな。先日知人が視聴していた全国版テレビ放送で「静岡県中東部ではこの塔婆のミニサイズをどこのスーパーも扱っている…と報じていたんだけど、ソレってナニ?」と訊いてきた。まるでヒミツのケンミンショーみたいだな。こいつはお寺に供養料を納めるとホトケさまの戒名を書き込んでは御祈祷して渡してくれるものなのよ。そしてソレをお墓のバックまたはサイドに立てて南無妙法蓮華経〜ってやるわけだ。まあトコロ変わればシナ変わるってもんで、きっと他府県ではまた違ったご供養のシキタリがあるのでしょうね、ボクはコレしか知りませんけど。

さて例によって精進落としみたいな昼食なのである。昨年は静岡市中心部の老舗うなぎ屋さんで『うな重』を食したのだけれど年老いた母君はずいぶん印象がよかったらしく「またソコに行こうよ」と仰るのである。う〜むウナギかあ、悪くないどころか上等すぎるプランだね。
しかし二年連続って行動になんとなく抵抗を覚えるエロおやぢは「落ち着きのある一昨年のお店で上質なランチをどうでしょう」と提案したのである。母君はちょっと記憶が曖昧だったらしく(?)みたいなカオをしているので「ほらさ〜アレとアレを食べた店だよ」と振り込め詐欺みたいな手口で記憶の糸を手繰り寄せてあげるとパッと表情が明るくなったのね。

開店直後で先客はほとんどいなかったが三階の座敷でも中庭に面したスペシャルな席は予約で埋まっていた。それでも個室っぽくなっている掘り炬燵形式の和室に案内していただき冷房の効いた静かなルームで故人を偲ぶお食事なのである。BGMはアール・クルーのようなカンジのフージョン系アコースティックギター・インストゥメンタル…やっぱりこのお店は気が利いているよなあ。
いろいろ悩んだけれど、やはり“服部料理長特製『季節の小箱膳』”ってのがイチ番フィットするよね〜ってことで母君も同じものを注文した。一日限定20食¥1500のリーズナブルランチ、プラス¥500で『するが牛のロースト』が別皿で加わり膳の一部を『金目鯛の煮付け』にチェンジしてくれるというオプションもある。もちろんこーゆー時なのでカネにイトメはつけない、即オプションも含めて注文なのよ。
先ずはセットになっている『冷製コーンポタージュスープ』が運ばれ客はメイン料理への期待をここで膨らませるシカケになっているが、この器までしっかり冷やしてあるスープがまた品のよいお味でジツに佳い。

母君は一昨年にこのメニューを食しているのだがその内容はガラリと変わっている。サスガだ、このお店のウリメニューだけあってその引き出しの豊富さとクオリティーの高さが伺える。フォトは左上から時計回りに天ぷら(海老・鱚・獅子唐・南瓜)・カツヲと真鯛のお造り・夏野菜のバーニャカウダ(コリンキー・加賀太きゅうり・紅しぐれ大根・カリフラワー)・鮪ヅケとアボカドのバラ寿司・鰯のチーズ焼き赤ワインソース・金目鯛の煮付け。

どの皿も非常にテマヒマかけた極上のお味、しかも盛り付けも美しい。天ぷらは一見平凡に見えるが鱚の身は二つに折るようにして揚げられていてふんわりジューシーに。こーゆー工夫がスゴい。お造りの薬味は鯛に合うおろし山葵とカツヲに合う生姜、ツマにはツバメの巣風春雨が初めての食感で嬉しい。バーニャカウダのヤサイは一度食してみたいと願っていた“加賀太きゅうり”に感動、コリンキーというズッキーニの仲間にも初対面。キャリフォルニアロールの先祖還りみたいなお寿司も面白かったけれど、鰯のチーズ焼にはアッと驚きの赤ワインソースでノックアウトされたし、金目鯛の煮付けは問答無用の正統派和食。
そして『するが牛のロースト』にはアタマが下がる思いだった。丁寧に焼き上げられ香草がほんのり薫るソフトな仕上がりと溢れ出る旨味!並みのお店ではこのエクセレントな味わいを提供することが出来ないだろうな、あぁゼイタク。

食事のあとはお飲み物と甘味が運ばれてくる。今年は黒蜜風味の『くず流し』、小さな紅羽二重餅とキナコが添えられはんなりと優しいデザートに仕上がっていた。コーヒーも和食系のお料理の後にいただくにはズバリのチューニング、イタリアンのように濃過ぎずさりとてファミレス型シャビでもない、まさにここだけのテイストが豊かに立ち上る。最初から最後まで(あぁよかったなあ…)としみじみと感ずる静かな幸福感に包まれるのよ。
こーゆーお店って滅多にあるものではない。それはつまり栄枯盛衰の激しい飲食業界に於いて繁栄を続けているこの企業とそのグループが正しいベクトルで運営されている証と言えるのではないか。以前に大切な人をこのお店の夜の席に予約して招いたことがあったけれど、その時は個室じゃなかった(既に予約がいっぱいで確保できなかったのよ)のでフォト撮影は封印した。真剣にベストなタイミングを図りお料理を提供してくださるカメリエーレに対し撮影による喫食開始遅延はシツレーじゃないか…という思いがあったからだ。ホントはその時のお料理の素晴らしさを皆さんにお伝えしたかったんですけどね。


坐坊(ざぼう)
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