オクシズで紅葉狩り 其の参 老舗蕎麦屋で『駿河そば』

コンヤ温泉紅葉祭りをアトにしていよいよ目的地の梅ヶ島温泉に向かった。オクシズは例によってクネクネアップダウンの山道であるが、ここは落石もないし地上高のあるキャプチャー君だから心配は無用だ。そして冬支度が始まっている南アルプスの斜面を紅葉が覆っていてとても美しい。


Olympus  PEN-F G.Zuiko Auto-S 1.4/40  @ SONY NEX-7

ほどなくして安倍峠の入り口に到着したけれど、その先は車両通行止めになっていて登山者だけが通行できるようになっていた。まあドライブ中心のお気軽紅葉狩りだからね、眺めのよい所までほんの少しだけ歩いてトレッキングのキブンだけ味わうのよ。もう少し先まで行けば富士山がバ〜ンと見える素晴らしいポイントがあるんだけどさ。


Olympus  PEN-F E.Zuiko Auto-T 3.5/100  @ SONY NEX-7

これでオクシズで紅葉狩りというミッションは終了、あとはその余韻に浸りながら静岡市の中心部まで下って昼めしを喰うのだよ。前夜はヤキニクだったし朝ゴハンはホテルのビュッフェ…ってことで、やっぱり和食系がいいかな。

思い出したのは二十代のころ行ったきりでもう何十年とご無沙汰している老舗のお蕎麦屋さん、駿府城公園から北街道に沿って歩いてスグの場所にある「安田屋 本店」さんである。
あの頃は生意気にも日本酒を徳利で一合・二合とちびちび飲りながら板わさなんぞを肴にして、そのあとせいろ蕎麦を手繰って帰る…なんて文人気取りみたいなマネをしていて、さぞかしムカつくガキだったような気がする。いまなら「このエセ文化人め!」なんて感じで思いっきりバカにしてしまいそうであるが、それが若かりし頃のテメーかと思うとジツに恥ずかしい。
それにしても味わいのあるいい暖簾だ。何も変えずに此処に在る…という圧倒的な歴史のチカラを象徴するような存在であるし、このお店の信念みたいなものが凝縮されたサインでもあるのだな。

数年前に改装されたらしいけれど相変わらず落ち着きのある店内は気取った部分もなくごくフツーのお蕎麦屋さんのそれである。こーゆーお店には安心して客人を案内しておもてなしすることも出来るし、普段使いの飲食店としてももちろん利用しやすくとてもいいバランスなのよね。
テーブル席に腰かけると障子を模したガラス窓の抜き文字(店名の安田屋)から北街道を望むことができる。静岡市民景観賞を贈られた店舗外観の重要なポイントのひとつである柳の樹が美しく、なんだかタイムスリップしたかのような錯覚に陥るのよね。


Olympus  PEN-F G.Zuiko Auto-S 1.4/40  @ SONY NEX-7

注文した蕎麦は『駿河そば』という荒挽きせいろ・純白の更科・茶そばの三種を盛り合わせたものに大海老の天ぷらが付いたセットメニューだ。
新蕎麦の香りが豊かなせいろ、のど越しよく強い甘みを感ずる更科、抹茶の薫り高く旨味もしっかりした茶そば…どれも一級品の出来栄えに満足である。そばつゆも甘すぎず辛すぎず深い味わいが老舗の貫録を物語る。う〜む、素晴らしい!

そしてもうひとつ別に提供された蕎麦猪口には“江戸時代である150年前の創業当時に供されていた蕎麦つゆ”を言い伝えをもとに再現した…というものが入っていた。“つゆ”と言うよりは“みそだれ”に近い感覚でドロリと濃厚、発酵した香りや塩分も強い。
これに蕎麦をちょんとつけて食せば、今まで経験したことのないような蕎麦の食べ方を楽しむことができる。特別に料金を設定しているわけでもなく、創業150年を記念したサービスであることに店主殿の粋を感じるではないか。こーゆー老舗の余裕みたいなものがひとつひとつの料理のお味にベースとなって生きているのだよ、なんだか嬉しくて仕方がないなあ。

安田屋さんについてちょっと調べたら江戸蕎麦の伝統を守る木鉢会という団体に属していることを知った。
何で江戸のグループに静岡のお蕎麦屋さんが?なのだけれど、江戸伝統の蕎麦打ち・蕎麦切りの流儀を踏襲している、そして蕎麦業界では初めて労働大臣から「現代の名工・卓越技能章」を受章しているということから同会への参加が認められた…ようなのであって、静岡県人としては誇らしい限りである。
いや〜おバカだった若いころには全く知らない事実だったけれど、そーゆーものをなんとな〜く感じ取って記憶の深い部分にしまっておいたエロおやぢもなかなかヤルよねえ。ってさ、愚者は語る・賢者は聞くと云うじゃないか、自慢話はやめましょう。
さて、オクシズの紅葉狩りはいいリフレッシュになったし、ちょっと遅めになった昼ゴハン会心の一発を打ち込むことができて満足な初冬の一日なのである。あぁまた行きたいなあ、安田屋さん…って紅葉のハナシじゃないのかい。




安田屋 本店
静岡県静岡市葵区横内町53
TEL=054-245-0981
ACT=11:00-20:15 木曜定休(祝日の場合は翌日休)


木鉢会 「静岡 安田屋本店」
http://www.kibati-kai.net/02kamei/kameiten/sizuoka_yasuda/


そばの散歩道 にっぽん蕎麦紀行 「安田屋本店」
http://www.nichimen.or.jp/kikou/14/01.html






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お昼ゴハンのあとは静岡市内の喫茶店でコーヒーとミニパフェのセット
近年中部関東エリアで大展開している某チェーン店とは大違い
質の高いスイーツとコーヒーの美味しさよ!
同じチェーン展開でもボクはコッチが大好きさ



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