■ 寿司屋のプライド
母上が「お家でゆっくりお寿司を食べたい」なんて所望をされていたので近所のスーパーに走った。
走った…ってホントに走ったワケではなくてクルマで行ったってことなんですけどね、そのクルマで行くってことも”クルマを飛ばした”なんて表現する場合もあります。いや~本当にクルマを飛ばしたら道路交通法違反あるいは器物損壊の罪に問われて大変なことになってしまうわけでして、日本語ってのは本当に面白いですね。
因みに静岡弁では急いで行ったってことを”飛んでった”と言います。ヒトに「急いで来てちょ」と伝えたいときには「飛んできて~」とお願いするわけですね。なんかちょっと微笑ましいカンジもします。そうそう、先月まで北海道からナゴヤに出稼ぎに来ていた人たちと一緒だったのですが、会話の中で「投げちゃったべさ」というコトバを聞きましてね、いや~懐かしい!とカンゲキしました。それは標準語で言いますと「捨てちゃったのよ」って意味でして、これもよく考えたらけっこー言い得て妙な表現です。
そうした真っ当な使い方の日本語表現には人間の温もりさえ感ずるものでありますが、近ごろは大袈裟を通り越して…というか意図的に大袈裟にするならまだいいのですが…バカじゃね~の?みたいに明らかな誤用が蔓延していてジツに不快な思いをすることも多くなりました。もう何度もこの駄文日記に書きましたけど、何でも「号泣」ってなんとかなりませんかねぇ、カンベンしてくださいマスコミ諸君。きちんと辞書をひもとき「号泣」の意味を勉強しなさい。
おっと、脱線…しかも長すぎ書きすぎ吠えすぎ。元に戻しましょう。
何でしたっけ?あ~そうそう、走ったのねスーパーに。そのスーパーではときどきこんなリッパな寿司を売っているのですよ。彩豊かでゴーカなプリントが施されたプラトレイではなく、寿司屋さんで注文して作ってもらうような”折詰箱”ですね。
そしてそこにギッシリ並べられた高級ネタの握り鮨が寿司屋のプライドを感じさせます。って、スーパーの寿司コーナーじゃないの?ですよね。そうなんです、そのスーパーに寿司コーナーは二つありましてね、ひとつはフツーのお惣菜プロダクツとして。もうひとつは魚屋も経営する寿司屋さんのコーナーです。
もちろん見慣れた寿司パック形式が殆どですが、こうして昔ながらの折詰ってやつを根気よく並べているわけです。
きっと店長(元は大将だったのかなあ)のプライドにかけてこいつを作り続けているのでしょうな、またそうしたココロを感じ取る客もおられるわけでして、並みの寿司パックなら2つは買えてしまうようなお値段であっても、長い間絶えることなく供給されているのですよ。
お味はもちろん二重マルです。ハデな演出はありませんが、上質な「食の粋」があります。一緒にいただくお酒もなるべく佳いものにしてシツレーのないようにします。