■ この際ですから思いっきり『焼肉丼』
ボンビにもテが届く高級和牛
外出自粛と休業要請のために飲食業が打撃を受けていた五月の中旬、困っていたのはサービス業だけではなく農業・水産業・畜産業を問わず生産者も大いに困惑と困窮のフチに立たされていたようです。これまで高級飲食店向けに出荷されていたハイグレードな和牛が市場に在庫過多…つまり値崩れを起こして末端に出回るわけです。
哀愁のイナカ町スーパーでこんな高級和牛が何故廉価に!?と最初はぽか~んとしてしまいましたが、間もなくそのカラクリに気が付くエロおやぢであります。そうか…だよなあ…そりゃ嬉しいには嬉しいんだけど、なんとな~く罪の意識と言いますか、若干の後ろめたさも感じないわけではありません。
まだ例の給付金はデリバリされておりませんけれど、まあフツーの生活に於きましては多少ゼイタク気味に推移させても問題のない経済状態でありまして(ヨユーはありませんけれど)そんな " 山形牛 手切り焼肉用 " なんぞをエイヤと購入してしまうのであります。ただいくら値崩れ廉売とはいえ輸入牛の三倍をラクに超える単価ですから、やはりちょっと勇気が要るのは確かなのでして、矢鱈滅多な調理では申し訳ない、生産者殿に失礼なことになってしまうのですよ。
この際ですから思いっきり『焼肉丼』
そしてこの際ですから思いっきり『焼肉丼』でばっくりと喰っちまおうじゃないのよっ!てな決心をするわけです。 しかも「どうせなら…」などと強気でありつつも捨て鉢なキモチも同時進行させてどば~っと焼いてしまうのですな。
おいおい、大丈夫かい? いや~この際ですから…。
小鉢・小皿・漬物は常備菜などありあわせのもので数合わせです。とにかく主役の『焼肉丼』がスゴいんだから、脇役はどんな大根役者でもオッケーってなもんでしょう。実際食してみればその怪演ぶりに圧倒されるのみ!なのです。
ニクの香りと脂の甘み、溶けるような柔らかさ、まったりとクチに拡がる高級和牛の旨味…あぁ、なんてニクがこの世にはあるんだい!
焼肉のタレなんてもんは今回使ってません、ごくフツーの " すきやき割り下 " のみが台本です。ゴハンはフツーの白飯、こういった強い個性の主役には小細工を弄しても仕方がありませんし、真っ当な脇役に徹するよう仕向けるのが正解です。
トッピングなどというゴマ化しも排除、もう本当に白ゴハンに割り下味の山形牛焼肉を乗せただけ。なのに何でこんなに美味しいのでしょう。あぁこーゆーものを知ってしまった人生はこれからどう軌道を描くべきなのか。困った恩恵です。