■ 陸奥湾のカクレ名物
知る人ぞ知る…と言っても津軽地方の方々にとっては大切なソウルフードである『トゲクリガニ』をいただきました。青森の遅い春に登場するシャコと並び花見には欠かせないものなのだそうですが、漁獲量が少ないせいかほぼ地元で消費されているようでありまして、全国テキにはほとんど無名に近い…と言ってもいいかも知れません。
事前に連絡をいただいておりましたので相棒の準備も万端整えて宅配便の到着を待ちました。やはりカニには日本酒でありますが、できれば地のものには地の酒…としたいわけです。しかし残念なことに青森県のお酒はこちら静岡ですと限られたものしか入手できないのでありまして、それならいっそのこと富士宮の銘酒で確実なセンを狙った方がよいでしょう、てなところです。ええ、この高砂酒造の本醸造ならどんな海の幸にも対応してくれると云うジツに優秀なお酒であります。
贈り主の方のご家族が茹で上げて下さったものですから、到着してスグに食すことが出来ます、有難いことですねえ。いそいそとテーブルセッティングを終え、早速その甲羅をバックリとはがしてみるわけですよ。
おぉっとぉ、意外に味噌は少な目…それもそのはず、旬は青森の春ですから未だ2か月ほど早いのですな。贈り主の方はその辺りが大いに気にかかったようでして、真っ先に「味噌はどうだった?」と訊いてくるわけです。
それでもハシで掬ってクチに運べば豊潤な海の香りと滋味が拡がり、豊かな陸奥湾の恵みを感じ取ることができます。あぁいいじゃないか…こんな珍味でお酒がいただけるなんてシアワセに決まってますよね。
肝心な身肉はたっぷり詰まっておりまして、よく比較される毛ガニにも似た風味と食感がキブンを盛り上げてくれるのであります。あぁ美味い!作家の太宰治氏が好物だったワケが解る気がします。若干控えめな香りと旨味が、逆に食べ飽きしないことにつながっているのではないでしょうか。
一般的な評価では濃厚な風味と言われておりますが、食したのが茹で上げた翌々々日…きっとそうした時間経過がそのエッセンスをスポイルしてしまったことに違いありません。残念ではありましたけれど、こうして陸奥湾のカクレ名物を楽しむことが出来、心から嬉しく思いました。
例によって甲羅盛に仕立ててはその旨さを落ち着いて享受するエロおやぢです、とにかく美味いなあ…やっぱりカニはいい。
夢中で食した『トゲクリガニ』ですが、あまりの嬉しさに神経もコーフンしているのでしょうな、なんだかもっと胃袋を膨らませてみたくなり久々にシメのラーメンってやつを作っては食してしまいました。
よく購入ストックしてある " サッポロ一番 塩らーめん " に刻み高菜をトッピングして食すやつです。こいつが堪らなく旨いのよ!チャーシューやシナチクは入っていないけれど、これはこれで美味いのですね…あ~タラフクな夕食でありました。
本当にご馳走様でした。