アワビのお刺身

今が旬のアワビ

冠婚葬祭や御節料理で縁起物として食される高級食材のアワビは、晩秋から初冬にかけてが産卵期で夏のうちにその体内に栄養を蓄えます…つまり神無月はその美味しい旬の最終期なのですな。
盛夏のころから「あぁ喰いてえなぁ」と思っておりましたが、平素の晩酌の相棒としては若干予算オーヴァーとなるわけでして、諦めの早いエロおやぢといたしましては鮮魚コーナーに並べられていても見なかったことにしてはベツのものに逃げ、テメーが達成出来ない敗北感とそのストレスを回避しておりました。ふう~ん…お刺身で食す貝ならホタテやホッキ貝、ツブ、鳥貝などおサイフに優しいやつがいっぱいあるじゃん…なのであります。
ところが先日いつものスーパー鮮魚コーナーでは、旬も末期ということでそのアワビお造りがちょいと値下げして並んでいるではありませんか。しかもブラック残業で遅くなった時刻なので半額赤札も貼付されております…う~んコレはカゴに入れるしかありません、情けない理由ですがソレはソレで幸運なこととして受け入れ素直に喜びましょう。
アワビだけでは物足りないので天然真鯛のお刺身も加え晩酌の準備はオッケーですな、るんるん♪と帰宅するのであります。

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あぁやっぱり美味いものですな、こりこり食感を乗り越え強い磯の香りと滲み出る滋味…体感はスグには出来ないけれど蓄積された様々な栄養が堪らない至福の時をもたらします。
そう云えば大学生のころに遊びに行った式根島で、いよいよ明日離島というタイミングで台風が襲来してしまい下田からの連絡船が欠航してしまいました。しかもこの先四日間は運航出来ない…えぇっ!?夏休み中だから自分はいいんだけど、宿代とかどーすんだよ…学生でしたからね、余分な金銭は持ち合わせておりませんし困り果ててしまいました。
そんな時に同行のMが「そういえばT(共通の仲良し友人)の実家は下田だったよなあ」ってことで電話で救援要請です。Tのお父様の計らいで下田漁協から式根島漁協へ現金振り込み、漁師民宿に滞在していた我々は窮地を脱出したわけです、とんだ借金抱え込みですがやれやれでした。

アワビ貝殻の内側

台風襲来の前日から民宿の窓や扉には頑丈な木の板が釘で打ち付けられ、酸素の供給は換気扇だけというほぼ密閉状態でした。民宿の方からは「おにいちゃんたち、ついてなかったねえ…まあコレでも飲って」と朝から晩までビールや酒、そして肴がズラリ…全て宿の漁師さんのご厚意による無償提供でありました。外は暴風雨でやることもなく、新聞や雑誌・書籍も読み尽くし、ラジオ放送を聞くか民宿の広間で酒を呑んで過ごすか…島の漁師さんは慣れたもので当たり前のようにそんな時間を過ごしています。密室でクサヤを焼くという究極罰ゲームのような体験もしましたが、今となっては楽しい思い出であります。
その時に漁師さんが教えてくれたのがアワビとトコブシの違いで、まあカンタンに言いますと前者は貝殻の穴が4~6くらいで後者が7~9コくらいなのですね。両方をお刺身にしては食べ比べさせてくれましたが、当時のボクにはその違いは判りませんでした…ドッチもめっちゃ美味いじゃん!って。
漁師さんは「オレはトコブシのほうが旨いと思う」と仰っておりまして、世の中のアワビ信仰もアテにならないものだなぁと感じた次第です。
アワビ貝殻の内側はとても美しい紋様でいつまでも眺めていたいキモチになります。そして若かりし頃のそんな出来事をぼんやりと思い出しては、あぁまた旅に出たいなぁ…などと考えるヨッパであります。






雨上がりの富士山


先日の大雨と寒気で富士山頂の再冠雪を期待しておりましたが
残念なことにカラ振り…夏富士のままの蒼黒い富嶽であります

7:14am, October 09. 2022. @Fujinomiya-City


Mt.Fuji_221009_0714 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA