■ 牡蠣豆腐
シンプルで明快
牡蠣なんていつでも喰えるさ…とナメていたら既に師走に入っておりました。迂闊と云いましょうか、重要なことを先送りしたがる悪いクセがここでも厄難を引き起こしておりまして、いちおーハンセーはしております。
そんなワケで慌てて購入に走った牡蠣は代名詞テキ産地でみなさまご存知の広島県産大粒牡蠣パックでした。長いこと北海道の釧路で暮らしていたので、牡蠣と云えば道東の厚岸産がトップバッターに君臨しておりましたけれど、ちょうどニッポン列島ド真ん中の静岡県では岩手県や宮城県などの東北産と、播磨灘を中心とした瀬戸内産が同じくらいの比率で店頭に並びます。まあドチラがいいとかはありません、その時に鮮度がよさそうなものを選んでくるだけです。
以前に静岡市中心部にある某有名飲食店で全国各地の牡蠣の食べ比べをしたことがありました。殻付きの生牡蠣には経木に産地が記されたものが乗せられていて、五種類ほどを「ふむふむ、なるほど…」などとエラソに食したものでしたが、今となってはそのお味もウロ覚えで遠い記憶となって消えかかっているのが現実であります。やっぱりねえ、そーゆーものはしょっちゅういただいていないと明確なコトバとしての表現が難しくなるのがトーシローの哀しさですな。
もちろん今回いただいたこの牡蠣も申し分のない美味しさでしたよ。シンプルで明快な鍋料理ですから、新鮮な牡蠣のお味をピュア&ストレートに堪能できるものでして、豊かな海の滋味とクリーミィな旨味がまったりとクチに拡がる快楽の世界です。あぁ、もっと早く食べたかったなあ…まああと二ヶ月間くらいは美味しさのピークにありますから、近いうちにいろいろなお料理にして楽しむことにしましょうか。
そんな広島県産の牡蠣ですから、相棒も広島西条の銘酒にお手伝いしていただきます。この酒蔵さんの日本酒を知ったのはかれこれ三十年ほど前のことですが、やはり地産の食材には地産のお酒がよく合うものですね。それほど高価な日本酒ではありませんが、牡蠣と共に存分に味わうことができました。いいお酒で嬉しい。
■ 初冬の庭風景 その後の紫蘭
花も終わり葉も萎えてしまった紫蘭は
母上がそれを束ね結わえてはお手入れの一環としておりましたが
霜が降りるような低温期ともなればその色もくすみ
まるで別モノのように庭の一角に存在しているわけです
梔子の実も縁台に拡げては天日干しをしておりましたが
風で飛んでしまうので干し柿のように糸を通して吊るすことに
こんな姿を見ていたら
やっぱりその干し柿を食べたくなってくるものですよ