■ サルシッチョンのペペロンチーノ
トリプルブッキングの顛末
スペインの定番サラミソーセージに「サルシッチョン」というものがあります。イベリコ豚を塩漬けしてミンチにしたものを腸詰にし長期間熟成させたものですが、発酵した動物性蛋白質の豊潤な旨味と香りがワインなどのアルコールに堪らなくフィットしてくるものなのですな。
入手するには哀愁のイナカ町でも流通大手某Aには KALDI さんと云う強い味方がありますけれど、エロおやぢはその某Aが大キライなので絶対に足を踏み入れません。従って母上にそこでのお買い物を依頼することになるわけですが、先日ちょっと深刻な事態に直面することになりました。

冷蔵庫の畜肉加工品ストッカーを整理していると、その「サルシッチョン」のパックが三つも出てきたわけです。あ~ヤラれた…と思いました。確か二つ同じものが重なっていたので「もう買ってこなくてもいいからね」と申し渡してあったのですが、後日再び…のトリプルブッキングということです。
カラダのあちこちは支障だらけでも頭脳はまだ明晰であると思っていた母上ですが、やはり91歳にもなればこんなものでしょう。取り急ぎ他人サマに迷惑のかかる事案でもありませんし、ここはなんとかフォローしておくのが家族の務めですな。

そんなワケで急遽「サルシッチョン」を使ったお料理でその消費拡大を画策しなければなりません。
まあワインやウイスキーの肴にパクパク喰っちまえばいいのでしょうけれど、塩分もけっこーキツ目だしお味も濃厚なのでそうそうは食べられませんよね。そこでタタッと刻んでパスタに入れてしまうことにしました。いちばんシンプルなペペロンチーノですが「サルシッチョン」の塩分で調味に塩は必要としません、旨味もそこから充分に供給されるのでパスタを茹で上げてアーリオオーリオで微加熱した「サルシッチョン」と共に軽く和えてやるだけでお味はほぼ決まります。あとはお好みでブラックペッパーやエクストラヴァージンのオリーブオイルで整えることくらいで上等なひと品になります。
あぁやっぱり美味いなあ…やれやれの顛末だけど。