ミニうな丼と鶏の水炊  

 正直な話は冷蔵庫整理のための夕食なのである。今晩当家では義弟一家との恒例の晩餐会が催される次第であり、数多の食材の準備のためには必要不可欠なコトだったのだ。

 年末からヘビィな食事が続きなおかつ酒の消費量も尋常ではないが故に、何かカラダに優しく温かいモノをという気持ちと、いちおー正月らしいプチ贅沢を…というワガママな欲求を満たす料理が出来ないものかと冷蔵庫を探索してみる。
イロイロ出てくるものだ。使いかけの白菜に人参の切れ端、青い部分ばかりの根深葱や賞味期限寸前の豆腐…
こりゃ鍋物しかないじゃん、となるとメインの動物性蛋白質が必要となる。
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 都合よく冷凍してあったのが地鶏の腿肉だ。素焼きにしてワサビ醤油で食す方法にハマり、何度か購入しているが「いつでも食べたいもんね」と二枚ほど予備テキにストックしてあったものである。
スーパーのブロイラーと違い加熱しても身ヤセすることがなく、調理加工の方法を選ばないトコロが気に入っている。
 そしてもう一つ出てきたのはウナギの蒲焼。年末の廉売で見つけた吉田町産鰻は小ぶりだったが故に一杯飲ったアトのフィニッシュに「ミニうな丼」もステキ♪とウキウキ購入した一尾であったのだが、暴飲暴食即撃沈の日々の中では出番もなくアブナく干からび果てるところだったのだ。
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かくして昨晩の夕食は特に正月らしい演出もなされることがないまま粛々と進行していったのであるが、さらりと食べる水炊きに“がんたポン酢”がジツによく合う。
頂いてから3ヶ月が経過し、味に円みが出てきたようだ。添加物のはいっていない生ものだけに瓶の中で熟成が進んでいるのだろう。ツンツンしていた酸味のカドは取れスダチの香りが逆に活き始めているようにも感じる。
厳冬期に入り鍋の頻度も高くなる食卓に、愉しみをより付加してくれる調味料である。