三度楽しむ『すき焼き』

特売の豪州産牛肉腿肩切り落としは100g¥98だった。厚みからいって牛丼や炒め物用という感じだったがスキヤキにも十分に対応できる質だ。
先日から溶きタマゴに絡めて食べるソレがミョ〜に強い欲望となっていたので「おーし!今夜はすき焼なのだ」とお供の食材探しに勤しむコトとなる。


高価な和牛でもないのでお味のほうはソレナリだが、最初に焼き目をつける時ヘッドの代わりにバターを用いるコトによってある程度風味や牛肉の甘味を補える。あまりバターの量が多いと何の料理だか判らなくなってしまうので入れ過ぎは禁物だ、ほんの風味付けと心得て最小限にとどめたい。


関西在住の友人たちによる進言に従い今回はゴボウを入れてみた。笹がきもいいなぁとは思ったが、新鮮でみずみずしいモノだったのでフツーの細切りで歯応えと香りを楽しむ。
まだシーズンには早いせいか定番の焼豆腐や春菊は店頭にない。仕方がないので木綿豆腐を購入し、ちょっと重石をして水抜きをしてやると煮崩れしにくく水っぽくならない。春菊は三つ葉で代用したがコレが意外にイケるピンチヒッターで、香りが甘辛タマゴ醤油味にぴったりな上、食感もシャキシャキと心地よく「もしかしたらコッチのほうが4番に向いてるかも…」な発見だった。
廉売の輸入牛肉でもケッコー楽しめたすき焼のフィニッシュは残った煮汁に絡めて食す“すき焼うどん”だ。ゆでめんを買ってきて放り込んでやるだけなのでメンドーなテマもかからず、またコレが旨いのなんのって… ハラはいっぱいのハズなのに何故かツルツルと胃袋に納まってしまう味の妙は重要なお楽しみ第二弾なのである。
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そして翌日。
鍋に残ったすき焼の汁には若干の具材のホカに小さいけれど砕かれた肉片もいくつかあるではないか。
ウ〜ム、このまま温め直して朝食のゴハンにぶっかけて…というテもあるけど「ちょっと待った〜っ!」なのである。コレを玉子とじしてドンブリにしたら…きゃ〜っ♪
トッテオケと命ずるボクに怪訝な顔の家人。もちろん理由は告げず、ヒソカな昼食のお楽しみとしてただ大切に仕舞わせるだけなのである。
玉子とじする時に余っていた水菜を加え、最後に粉山椒をパラリと… とてもリメイクものとは思えない美味しさにニマニマしてしまう。
食卓に向ってニヤケながら一人ドンブリをかき込むエロおやぢはハタから見ればキモいだけかもしれないが「知ったこっちゃねーよ」の第三弾なのである。
この味をボク以外のヒトにもゼヒ楽しんでもらいたいものだとは思うが、残念なコトにわざわざこのためにすき焼を作っても翌日にならなければこの味にはならないし、何人前残るのかは予想が全く出来ないのである。




Sora



Afternoon, September 07. 2009.