前略ネッツトヨタ殿  

リッパな封書がダイレクトメールで送られてきた。VWショウルームのグランド・オープンらしいが、ボクの名前と住所はどこで知ったの?


前略
ネッツトヨタ静岡株式会社
取締役社長 松田達也 殿


この度はDUO静岡草薙のグランド・オープンおめでとうございます。またご丁寧な招待状と立派なパンフレットまでお送り頂き誠に有難く存じます。
さてせっかくのご厚意を無下にする返事で申し訳ございませんが、現在私はフランス・ルノー社製メガーヌを愛用し大変満足して居りますし、少なくともあと6年は所有を続ける予定です。
家族の自家用車はそろそろ耐用の限界に来ておりますが、買い替え第一候補はやはりルノー製品であり以降はシトロエンアルファロメオと続いておりご案内いただいた乗用車は候補に挙げられてはおりません。
そしてこれからVW製品が候補の中に入ったとしても、過去にあったある事件がどうしても私の心を覆ってしまうのです。


それは1999年のある日、貴社の別店舗にお伺いしたときのことです。
旅行先で見た新型のPoloがとても気に入って「半分購入決定のつもり」でショウルームに向かいました。あいにく当時乗っていた輸入車が点検だったため代車の国産軽自動車に乗って行ったのです。確かにその代車は年代モノでお世辞にもキレイといえる外観ではありませんでしたが・・・。
店舗脇の入り口付近の駐車スペースに停めルームに向かう私を、店内にいた二人の女性従業員が見ていました。
入り口に入って何か声を掛けられるのかなと思っていましたが、コチラを一瞥しただけで「いらっしゃいませ」の言葉もありませんでした。
私は展示してあるポロに近づきあちらこちらを眺めておりましたが、その間やはり何のアクションもありませんでした。
10分ほどしてからだったと思いますが、仕方が無いのでカタログなどの資料を頂こうと先ほどの女性たちのほうに向かいかけると、彼女たちは何もせずにただ立っていただけでした。
何か他に用があって接客をやむを得ず出来ないという場合もありますからそれまでは特になんとも思っていなかったのですが、その瞬間に「イヤな店」と判断してしまいました。


決定的だったのはその直後に入店した別のお客様には笑顔で声掛けして接客を始めたことでした。
私は何も言わずにその場を離れましたが、後口のお客様が乗ってきていたクルマはトヨタの中型車。非常に悔しい思いでその店を後にしました。
当然の事ながらお見送りはおろか「ありがとうございました」の一言もありません。
「ボロ軽自動車に乗ってるビンボー人には輸入車なんて買える訳ないよね〜」
という声が聞こえるようでした。


それ以降、私の選択肢からはトヨタとVWは消去いたしました。よって貴社での購入は有り得ません。
巷で叫ばれているエコロジーの観点からもこのようなご案内は不要かと存じます。そして以降のお心遣いは無用ですので、よろしくお願い申し上げます。

                                            草々
                                        Art-Foods




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