イタリアン「OREAJI」


石窯焼のナポリピッツァを楽しめる、というコトで選んだお店「OREAJI」は大竹浩史氏がプロデュースする気鋭のイタリアンである。
ディナータイムは30種類以上のピッツァやユニークなパスタを楽しめるようであるが、ランチは絞り込んだメニューとアンティパストやドルチェのコンビネーションでバリュー感を打ち出し人気がある。
本当はマルゲリータを食してその実力のベースを感じ取りたかったのだが、今回はなぜか気になった『オイルサーディンとモツァレラチーズのピッツァ』を注文してしまった。
オーダー毎に生地を延ばし石窯で焼き上げる手順が守られ、ウッドボードに乗せられて客席まで運ばれる。そしてカメリエーレがその場で切り目をつけてテーブルに置いてゆく…というスタイルが新鮮だ。
そんなコトより、トマトソースを使わないこのピッツァの美味しさといったらもう!
フェンネルが切れ込みの良い香りと酸味を加え、サーディンとチーズがこんなに仲良く仕事をしてくれるとは思わなかった。
やっぱりワインが欲しいよね〜なのだ。

もう一つのメインディッシュは『鴨のローストと葱のパスタ・バルサミコソース』だが、何しろ驚いたのはスパゲッティーニというさほど細くもないロングパスタを使っているにも関わらず、冷製に仕立ててあるコトだ。
フツーはフェデリーニなどの極細を用いるが、セオリーに反してこの太さを使用するワケは食べてみて初めて解る。
しっかり濃厚な鴨肉の風味とスライスの厚み、そして葱のジャキッとした歯ごたえにフェデリーニでは負けてしまう。同時に口に入れ噛み味わうときのバランスはやはりこれくらいの太さとハリが必要で、並の料理人には思いもつかない至極のワザだろう。
カメリエーレに聞けば、真冬でもこの冷製パスタは人気があるという。ナルホド、このパスタなら料理人の熱意が“温度ではない温かさとエネルギー”で食す人の五感を満足させるのかもしれない。
バルサミコが主体のソースではあるが程よい酸味と蜂蜜のような甘みがわずかに見え隠れする微妙なセッティングに、ただただ驚嘆するばかりの一皿なのであった。


イタリアン・レストラン「OREAJI
http://www.oreaji.com/