貝ご飯の前哨戦『たこめし』

東京の老舗料亭の御主人が“貝ご飯”をつくるコツを披露していた。数種類の貝にそれぞれ別の下処理を施しベストな旨みを引き出すのだという。

春が旬である貝類はこれからが最盛期だが、数種類集めるとなるとそうカンタンにはいかないだろう。もう少し時間のあるトキにでもゆっくりと魚屋の店先でジックリ吟味したいものだ。
そういえばムカシ釣りに夢中になっていたころJR鶴見線の「国道駅」に降り立ったことが数度ある。国道15号線第一京浜国道)とクロスする位置にちょうど駅のホームが存在するので駅名までが正式に「国道駅」となってしまった珍しい例で、決して愛称などではない所が面白いではないか。
その国道駅から運河に並行する路地沿いに“貝市場”があるのだ。今では鶴見近辺などで獲れる貝などは限られているのだろうが、以前は河口から流れ出る豊かな栄養が遠浅の沿岸で数多くの貝類を育てていたのではないか。貝を扱う問屋や商店がココに集まっているのは、そんな立地条件と無縁ではないような気がする。「貝」といえば鶴見と言われるくらい多くのお店が軒を連ね、威勢のいい掛け声と活気がみなぎる市場であり、今時期そんな場所にでも行けばそれこそ思い通りの貝をたっぷりテに入れるコトが出来るに違いない。(正式名は“生麦市場”、京急花月園前からも行ける)
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さてジッコーの難しい想像に耽っていても仕方がないので、貝はあきらめてタコでゴハンを炊いてみる。考えてもみれば“たこめし”は去年の9月に作って以来で「あのトキはパンクにバッテリー突然死と散々だったなぁ…」と思い出してしまうのである。
その時の冷凍タコはピンチヒッターのメキシコ野郎だったが、今回はフツーにスーパーで購入したボイルタコってヤツで、獲りすぎで漁獲高が激減してしまったモロッコに代わり新進気鋭のモーリタニアからの使者なのである。お味はベツに変わるコトもなくフツーにタコの味がするのだな。
“たこめし”でトーシローが失敗するのは丁度いいと思って刻んだタコが炊飯すると縮んでしまい「あれ〜ケチなたこめし…」となってガッカリしてしまうコトなのである。オマケに硬くなってパサパサ…コレではタコも浮かばれない。
ソレを防止するには買ってきたタコはカットせずにそのまま炊飯器に放り込むのである。タコは恥ずかしがってクネクネと身をヨジるかも知れないがソレは無視して「よしよし、オジサンがアトでイイコトしてあげるからね♪」とフタを閉めてしまえばよい。
炊飯終了ファンファーレが高らかに鳴り響いたらタコだけを取り出し、まな板の上でブツブツと切ってはまた炊飯器に戻し、アメ色に炊き上がったゴハンにマゼマゼすれば終わりなのである。
タコはこのときはじめてダマされたことに気づきプリプリしているが、もう手遅れなのね。ドンブリによそられ、トッピングの青みなどを添えられて最後の花を咲かせてヒトに幸福を与え去ってゆく…そんなタコの一生なのである。
炊飯と同時進行で蒸しあげられたタコはカットされずに加熱されたのでジューシーで柔らか、なおかつ適度なだしをカマの中で放出し白い身をぷりぷりさせて香りもよい。
食す際は刻み海苔や針生姜を添えるともっと美味しくいただけるのだが、昨日はソコまでシンケーが行き届かなかったのはハンセーすべき点なのであった。





今朝の富士山

2009.03.07. 07:25 @Mannohara,Fujinomiya-City