チーズで美味しさプラス『ロテッレのアラビアータ』

ご存じこの車輪のカタチをしたショートパスタはよく見かけるが、実際に食したコトのある方は少ないのではないだろうか。確かに変わりダネは楽しいものの購入にはけっこうな勇気が要るものだ。

英語では“ホイール”と、そのまんまの呼称であるこのショートパスタはイタリアでは“ロテッレ”。回転するもの、からくるラテン語にルーツを持っている。中が空洞になっているペンネに比べてスポークやハブに当たる部分があるため、粘度が高い低いに関わりなくソースが絡みやすいのはとても使いやすい。
どういう理由かは判らないが茹でる時の時間はかなりラフに設定してもよく、逆に「アルデンテにしよう」などと硬めに茹で上げたりすると食す時までホントに硬いままで失敗してしまった経験もあるくらいコシが強い。少し茹で過ぎたかなぁ〜と思うくらいで丁度良い加減となり、モチモチした食感と小麦の香りが楽しめるパスタなのである。

ソースは唐辛子の辛さが効いたアラビアータにしてみた。一番よく組み合わされるパスタとしてペンネがあり“ペンネ・アラビアータ”は提供しているリストランテも多いが、今回はロテッレを使ったコトとソースにチーズとバジルを加える工夫によって、トマトの甘み&酸味に一層の深い香りとコクを持たせた一皿となった。
チーズは仕上げにパルミジャーノレッジャーノをおろして振りかけるテもあるが、ソースを温めるときに小さくカットしたものを加えるのも風味以外に少し溶けたチーズの旨みが拡がり美味しいものだ。尖りがちなアラビアータがマイルドになるメリットも忘れてはならない。
チーズはモツァレラでもよいし手元に在庫がなければクリームチーズでも構わない。加熱したソースの中では意外にチーズは早く溶け、そのカタチがなくなってしまうのもつまらないハナシなので、茹であがったパスタを投入する直前ぐらいがベストなタイミングだろう。また大きさもウメボシくらいの塊になるように手でちぎって入れるくらいでちょうどよい場合もあり、パスタやソースの種類によって適宜変えるのも楽しい。
ロングパスタのように食べる量と調理に使用する量の見極めがしずらいショートパスタだが、意外にボリュームが出やすい…というコトを憶えておくとよいだろう。不幸にもゆで過ぎて残ってしまったらサラダのトッピングに用いたりスープの具にして食べきってしまおうではないか。