取材シゴトで山あいの集落を自転車で走った。細かな発見が必要な取材はクルマでは不可能で、ちょっとキツいがチャリ取材はまことに都合がよろしい。
そんなある日ムカシからある林道のような道で一枚の看板を目にした。“焼きたてパンの店・クックドゥル”と書かれているではないか。ちょうど昼めしはナニにしようかと思案していた時だったのでこれ幸いにその看板の指示方向へ向かってみた。
ところが到着してみるとその日は定休日、な〜んだガッカリなのである。まぁそのうちにまた来るさ…と元来た道に戻ったワケであるが、なんとなくキブンがすぐれないのであって、その数日後に近くまで行った際に「今日こそ！」と突入したのであった。
一般住宅を少し改造したようなお店の店内はかわいらしい面積ではあるものの、センスのよいディスプレイと採光窓からの陽光が拡散する明るい雰囲気であって、もちろん香ばしいパンの香りが漂っている。
あまりヒトの気配のないこんなイナカに焼きたてパン屋さんがあること自体オドロキだったが、並べられた商品の数と種類にはもっと衝撃を受ける。こんなに作ってしまって大丈夫なの？と思うが、ココで営業を始めてもう何年にもなると云うからそうしたプライドを捨てずに美味しい焼きたてをバリエーション豊かに提供し続ける姿が根強いファンを生んでいるのだろう。
オーナーの女性が笑顔で出迎えてくれ、オススメのパンなどを紹介してくれる。う〜んドレもジツに美味しそうだし、都会のパン屋さんに比べお値段も安めに設定されているではないか。コレで美味しければ申し分ないなぁ…と思いプレーン系のパンをお願いした。
もちろん惣菜パンもスキだが、やはり初回はプレーンなブレッドを食してそのお店のポリシーを計る…と云うのがボクのセオリーだ。おいっ！オマエはラーメン屋でイキなり坦々麺を喰ったりするではないか！とツッコまれそうだ。ラーメンもムカシは必ずフツーの醤油味を注文したものだが、もうソレはさんざんヤリ尽くして概ねのトコロは理解できるようになった…つまり飛び級をやってもオッケーな諦観の境地に達したと言っても構わないのさ、と自負出来るようになったからなのであって、パンについてはまだゲゲゲの初心者なのでこうして日々研鑽を積もうではないか…という謙虚なココロなのである。
先ずはキホンのバゲットだ。チャリなので大きいのはイヤだな…とワガママを言うと「ハーフもありますよ♪」と指差してくれた。おぉコレはズバリのサイズではないか。しかもランチの予算枠順守にも貢献してくれるハーフ価格である。
そして件の女性がもう一つ薦めてくれたのは“ゴマブレッド”なのであった。全粒粉だけを使いもちっとした食感に仕上げてある丸パンにたっぷりの白ゴマをまぶしつけたスタイルだ。普段あまりゴマ系のパンにはテを出さないボクだが、美しい女性に勧められればもうコレは拒む理由はない。はいはいソレも下さい！といきなり気前よく購入してしまうエロおやぢである。
しかしこのゴマブレドは本当に美味しかった。淡い塩味を感じる全粒粉のパンそのものは素晴らしい味と香り、そしてプチプチツブツブとキモチのよい食感を残すゴマがベストなマッチングを見せてくれている。
もうひとつ可愛らしいパンも購入してみた。クリームチーズロールである。小さいので２コひとつで袋入りになっていて一つは昼食に、もうひとつは夕食のワインのお供に…などと調子の良い論理を想い浮かべてはテにした品だ。
バゲットは最初からお家に帰ってから食すつもりだったが、ゴマとチーズは出先の屋外で食したのである。持参してあったお茶を片手に日陰のベンチで食す焼きたてパンはジツにシアワセな気分を運んでくれる。あぁ、キモチいいなぁ♪
このクリームチーズロールもゴマとはまた全く別の方向性を持ったパンだが、かなりなお値打ち商品とみた。割ってみると良質なクリームチーズがゴロンと入っていて「どうだ、まいったか〜！」みたいな押し出しが在る。
しかしお味は繊細でやたらガサガサ喰ってしまうものではなさそうだ。が、あまりに美味しいので二つとも喰ってしまった。ワインのアテはどうなるの？って知ったこっちゃねーよ！なんだな、まぁヨルにはヨルの風が吹くってもんさ。
静岡あさひテレビのキャスター大沼啓延さんも絶賛という“たこやきパン”などもあったし、ココはまたぜひ訪れていろいろお試ししてみなくてはならないパン屋さんなのであった。
あ…バゲット、コレも一流のお味でしたよ。ワインにはこれひとつで上等、満足しました。
◆クックドゥル
静岡県富士宮市上条1799-7
TEL/FAX=0544-58-3624
ACT=10:00 - 18:00
月曜定休（祝日営業翌日休）
→MAP
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今朝の富士山
5:50AM, November 06. 2010. @Fujinomiya-City → Original Photo
