季節はずれのトウモロコシと『宇都宮餃子』

“ギョーザ消費量日本一”を巡り熱い闘いをいつも繰り広げている静岡県浜松市と栃木県宇都宮市。もちろん静岡県民であるボクは浜松餃子をときどき食す機会はあるけれど、宇都宮餃子に関してはなかなか難しいものがあった。

宇都宮にはシゴトで何度も行っているのでそんなチャンスはあったはずなのにねぇ何でだろう…と考えるとそれは昭和バブルのころのハナシなのであって、餃子なんぞには誰もメもくれなかったのよね。
つまりそーゆーソウルフードが注目されるようになったのはその後の平成不況でB級グルメブームがやってきてからである。バブルの時代はいろいろな規制が緩和されて輸入食料品が安価に手に入るようになったり、フレンチやイタリアンそしてアジアンエスニックなどそれまで希少だった外食分野がイッキに庶民に降りてきた。それは嗜好の多様性を喚起しニッポン人の舌がずいぶんと肥えたのも確かだろう。
ところが平成になってそれに飽きたわけではないのだけれど、ウカレ気分で過ごしてきた日々を飛び越えてふと振り返ると戦後昭和の高度経済成長期に我々の胃袋を満足させてくれた食べ物たちがなんとも愛おしいものに思えてきたのよね。ある意味B級グルメの現実逃避できる懐かしさやシンプルでありながら印象深い味がココロに響くようになってしまったのだ。

まあ理屈はどうでもよくってご当地ソウルフードってのはその土地の歴史や民俗風習が濃縮されて残ったものなのであって、それが庶民のクチに合わないはずがないではないか。
餃子に関してよく言われるのは、旧大日本帝国大東亜共栄圏を夢見て中国大陸に進出した際にいくつか派遣された部隊が栃木県と静岡県からのものだったらしく、帰国後その兵士が現地で覚えた餃子を母国の生地で…というのが通説ではあるけれど真偽のほどは確かではない。
そんな『宇都宮餃子』を食す機会がやってきた。スーパーに買い物にゆくと折しもハロウィンの特売で、こんな餃子の箱にまでパンプキンやバットの意匠があしらわれているだけでなく、キャラクターの餃子までハロウィン風にリメイクされているところが笑える。そして36コ入りのファミリーパックなんてお買い得バージョンとなっていて「こりゃ買わないテはないぜ」てなところでしょうかね。
さ〜て今夜は初めての『宇都宮餃子』で冷たいビールをきゅ〜っと…と期待に胸膨らませていると宅配牛乳のおじさんが集金ついでにトウモロコシを持ってきてくれた。


Asahi Opt.  Super-Takumar 1.4/50(8-elements)  @ SONY α7

おやおや珍しいですねえ、こんな時期にトウモロコシなんてさ。フツーは初夏から晩夏までなのに、まもなく初冬の入り口にさしかかる季節のトウモロコシって如何なものざんしょ…と、今回は皮を剥かずにまるごとスチームしてみた。ビール片手に食してみれば、これがまたジツに甘くて香りがよく美味いのである。びっくりですねえ、いい前菜になりましたよ。

さて肝心の『宇都宮餃子』ですな、悪い言い方をするとベツにどーってことないじゃん…なんだけど、ソコがいいところなのだと思う。個性やクセと云ったものが排除されていて、ホイホイといくらでも食べられる。フツーに美味しいところが普遍テキ惣菜の要件なのだし、お値段の安さにも直結しているのだから有難いことなのである。
あれっ?ソレって『浜松餃子』ともしかして一緒じゃん…と気が付いてしまった。そうなんです、餃子消費量の多い県民嗜好はこんな餃子を生み出していたのだな。ニクがギュッと詰まった強い餃子ではなく、ヤサイたっぷりで老若男女を問わず優しいお味でトリコにする餃子、あぁこーゆー文化ってのもまたいいものですなあ。
スーパーで購入してきたチルド製品ではなく、本当は宇都宮のお店に出向いて食すべきなのでしょうけれど、まあ当分はないでしょうな。仕方ありませんよ、人生はいろいろ山あり谷ありだし現在優先させなければならないことがギッシリなんですから。まあきっとそのうちチャンスは巡ってくるでしょう、ここはジッとおとなしく耐えてその時の準備をしておくだけですよ。




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日没後の富士山
ほわほわと漂う雲はほんの数分間だけ
みるみる間に消えて闇に落ちてゆく空
そして再び雪化粧してくれるのはいつでしょう




SIGMA  A013 2.8/30 DN  @ SONY NEX-7