台湾ラーメンと鶏団子鍋  

顔面に噴き出す汗をタオルでぬぐいながらスープを飲み、またぬぐってはもう一口…
ん〜どこかで食べたコトのある味なんだけど思い出せない。

 先日の葱ラーメンを再びと思い家族を連れて家を出たものの、時刻はすでに正午をまわっていた。4月から中学へ進学するお嬢ちゃまの制服採寸に思わず時間を食ってしまい完全な出遅れだ。
言わずもがなであるが人気店のランチはピーク前に突入しなければ物乞いの行列状態を覚悟しなければならないし、土曜日曜となればなおさらのコトだ。
「到着は早くて30分後、最悪のタイミングね〜」と急きょ近場のラーメン店に変更、行ったのは“東京豚骨拉麺ばんかららーめん富士宮店”だ。
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 もう二年近く前なのにその時食べた杏仁豆腐がいたくお気に入りになってしまったお嬢ちゃまは、背脂ベットリの叉焼麺&杏仁豆腐という組み合わせで食券を購入する。「よく喰うよな…」と苦笑しつつジツは半分羨ましい気持ちもあって「若いコロはボクだって楽勝にソレくらい」という思い出とも似つかない感情が押し寄せてくる。
奥サマは「海苔支那そば」でボクが「台湾ラーメン」、マイミクさんがスレ違いで食べたというその激辛麺も脳裏にしっかり焼き付けてあり、思わぬトコロで想いが適った寸法だ。
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 バラ肉の叉焼と極太のメンマ、そしてなによりもたっぷりの青葱に特製のラー油がしっかりトッピングされた台湾ラーメン
濃厚な豚骨醤油スープに刺激の強い香りがパーンと効いた個性テキなラーメンだが、辛いのにやめられない美味さがリピーターを呼び込むのだろう。一膳ついてくる白ゴハンが辛さを紛らわし、またラーメンに進む気になる演出もニクイではないか。
食べている間は「ん〜、どこかで食べたコトのある味なんだけど…」だったのだが、帰って来てから思い出した。そう、横浜中華街の『景徳鎮』で食べた麻婆豆腐の味と香りなのである。
中国山椒の中でも特に香りと辛味が強いとされる花椒の個性がキラメくラー油、マイミクさんが葱ラーメンと迷う気持ちがよく解った。
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東京豚骨拉麺ばんかららーめん富士宮
静岡県富士宮市阿幸地町30
TEL : 0544-22-8585
営業時間 11:00〜翌2:00

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そんなワケでおヒルはちょっとヘビイになってしまった昨日の夕食は胡椒鍋。
コンブだしに塩胡椒だけのシンプルな鍋で胃袋にもちょっと休憩を。

 鶏団子にゴボウ天など最小限の動物性タンパク質に多めの野菜とキノコ。ただしとてつもない失敗が一つあった。
豆腐を入れるのを忘れたのである。買い置きの豆腐もあったのに何で忘れたんだろう…
鍋料理に豆腐はハズせないアイテムであり、それが入っていない“鍋”と名のつくモノは探すのに苦労するほどだ。
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 以前は豆腐と云えば木綿濾し一辺倒だったが、近年は絹ごしにかなりの比重を置くようになった。もちろん木綿豆腐もスキではあるが、絹ごしのあの滑らかな舌触りと濃厚な旨味を知ってしまうとどうにも前者は分が悪い。
あの冷奴でさえ絹軍団に占拠され、もはや行く場所がない窮地に立っている。
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 入れ忘れに気づき豆腐のコトを考えながら鍋をつついていると、ふと思いついた料理があった。台湾ラーメンの味からインスパイアされた“麻婆豆腐”である。
木綿豆腐に一晩重石をして水ヌキをし、硬く濃縮された豆腐に味を付けてゆく…絹ごしのあのツルリとした食感とは全く違った価値なのである。
麻婆豆腐を久しぶりに作ってみよう、そんな気になった昨晩だった。