付け合わせとタレでゴマ化そう『お徳用冷凍餃子』

いいモノをちょっとだけ…がこのところのキーワードだが、ことニク系に関する限りそうもいかない場合も多い。大喰らいの中二女子剣道部員が対象の食事などは周到な準備を怠ると手痛い出費が待ち構えているのだ。

同じ冷凍餃子でもピンからキリまであって“鹿児島産黒豚使用”などと謳ってあるモノなどは、お店で食べるのとそう変わらない価格が設定されている場合もある。しかしその割にお味の方は…というコトもあり、経済的な価値とヒトの満足感は決してリニアなものではないのだなぁと思ってしまう。
とにかく低コストで大量な料理が必要な向きにはキチンとソレナリの食材もあって、昨晩食した餃子もその一つである。華々しく店頭の中央に陣取る機会もなくCO-OPの宅配カタログの隅にヒッソリと注文の時を待っている姿はイジマシイものがあるが、いったん開封してフライパンの上で演技をさせればナカナカに流麗な舞をみせてくれる。
ただし主役としての舞台を満足をもって終えさせるためには相応なトリマキと衣装・メイクが必要で、ソコにプロデューサーたる料理人のウデとセンスが試されるのだな。とはいえイキナリ餃子君に「今日は揚げ餃子になってくれ」とか「スープの中で温泉気分を」と申し渡しても、ソレは今まで雅楽しかやったことのない者に「パンクバンドのヴォーカルをやれ」と言ったり、AV嬢に「直江兼続正室役やってみない?」などと依頼するようなものである。“お徳用餃子”君はエコノミーなクラスだけに正統派の仕立てで迎えてあげた方がボロが出ずに良いのだ。
ヤサイ炒めをバックに石垣島ラー油の化粧…誰しもがこの日の主役が“お徳用”君だとは思わないだろう。もっとも中二女子剣道部員はスキキライが多くラー油はおろか酢さえ加えない生醤油で食すのでストレートにその味を召し上がってはいるのだが、量さえあればノープロブレム、質とは無縁な糧食補給に徹する姿勢は逆に「悩みがなくて羨ましいなぁ」との思いも微かに去来する。
しかし石垣島ラー油は魔法の調味料だ、平凡なトーシローをこれだけの名優にバケさせちゃうのだから…
あぁ、ビールが旨いなぁ♪ノンアルコールだけど。