桜島大根の粕漬

小さい頃に少年画報のような本で桜島大根の写真を見た。小学生くらいの男の子が自分の身丈ほどもある大きな桜島大根を抱えてはニッコリしている画はモノクロで撮影されたものに着色したようなフシギな画像だったが、そんなコトよりも「コレは大根じゃなくてカブではないのか」と思ったボクなのである。

ダイコンとカブは同じアブラナ科の植物なので親戚みたいなものだが肉質はかなりな違いがあってそれぞれの特徴を生かした料理が生み出されている。
見た目がそうであるようにこの桜島大根は緻密な肉質と少ない繊維質や柔らかく甘味に富んでいるコトなどカブに近い特性を持っている。世界一大きな大根としてきっちりギネス認定もされていて知らぬヒトはいない鹿児島の代表的な農産物だ。
生で食すホカには漬物・煮物とナンデモコイな大根でもあり、その葉も栄養価が高いので現地では有効活用しているようだ。唯一のネックは育成期間が非常に長く5〜6ヶ月も要するという。温暖な海に囲まれた火山灰土の島…という条件が特徴ある大根の成長を支えているワケであって、タネだけ持っていっても他の土地では上手くゆかないらしい。
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そんな桜島大根の粕漬をテに入れた。いわゆる奈良漬スタイルで開封するとぷぅ〜んと酒粕の悩ましい香りが漂う。
奈良漬は白ウリを使うのでぱりぱりハリハリとした歯ごたえも楽しい漬物だが、コチラは大根なので食感はサクサクしたもの。タクアンのような噛み心地を期待していたので少々外された格好だ。
しかしキメの細かい繊維が滑らかな舌触りを生み、上質な酒粕の香りに酔いしれる時がやってくる。酒の肴にもよし、ゴハンのお供にもイケる。そう、茶漬けという必殺ワザをすっかり忘れていた。




中園久太郎商店
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Sora

5:27AM, September 11. 2009.