トンボまぐろのヅケ丼

新規オープンしたての隣町のスーパーで購入してきたのはビンナガマグロのブロックである。100g単価は¥98とヒジョーに安く、出かける前からメをつけていたのだがチラシには“トンボまぐろ”となっていてそのスーパーの主要な営業エリア特性がよく出ているなぁと思ったボクだ。


魚の呼び名は地方性が強く残っているものも多くマグロも例外ではない。我が国では古来マグロのことを“シビ”と呼んでいて、魚河岸などではこの名称を今でも使っているのは新聞の魚市況欄に“シビ”と記載されているコトでよく解る。
本来は鬢長(びんなが)が正式な名称であるこのマグロは胸ヒレが長く、まるで昆虫のトンボのように見えるコトからマグロ漁の行われる漁師町などでは“トンボ”と呼ばれてきたのだ。焼津のお魚センターでは現在でも杉の経木にトンボと赤文字で表記したものが売場の氷に立てかけられていて「あ〜、この街ではこう呼ぶんだ…」と改めて思ったりもする。
市場と言っても一般のヒトが買い物に来る場所なので専門用語で書かれているハズもなく、庶民に一番親しみのある名前が付けられているのだろう。
そんなトンボ鮪を購入したスーパーは鉄道会社が静岡や焼津を中心に運営展開しており、前述の営業エリア云々はそんなトコロから来ているのである。


ビンナガまぐろは鮪類の中では最も小型で成魚でも全長1.3メートル程度、体重は40kg前後といった暖海性の魚種である。トロリとした脂肪分には富むがサッパリとした風味と柔らかな身肉が特徴だ。主にツナ缶の原料として利用されるが刺身でもモチロン美味しい。
柔らかで崩れやすいのでヅケにしてやるとグッと身にシマリも出るし、元々持っている旨味が凝縮されて一層美味しくいただける。醤油に酒・味醂を少々合わせ、ほんのひとツマミの砂糖を溶かしたヅケダレに切り身を入れて15〜20分も待てばオッケーだ。
食べ方はお好みでよろしい。そのまま山かけに突入させてもヨシ、白飯・寿司飯どちらでもイケる。沼津にあるドンブリ料理の某店ではヅケダレにコチュジャンゴマ油を加え入れて漬けたモノをドンブリご飯に並べ卵黄を中央にトッピングした“ユッケ風まぐろヅケ丼”が人気らしい。たまにはそんな韓国式にチャレンジしても後悔するコトのない美味しさがトンボにはある。




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Sora

7:33AM, October 09. 2009.