はんなり上品『京芋の含め煮』

以前から一度食べてみたいと思っていた食材のひとつに京料理によく登場する海老芋というヤツがある。たいていは棒鱈と共に炊いて『いも棒』などと云う上品な料理になるワケだが、そんな一品を出してくれる京懐石のお店などボクには無縁のものなのであってただただアコガレの存在としてあっただけである。

ところが先日いつもの農民市場にネギを買いに行くと、その海老芋が売っているではないか。クリンとエビ反ったスタイルやまるで殻のような斑紋はまさにコレだよ!というカンジでヨロコビ手にとると説明書きには“京いも”となっているではないか。
そういえば別の袋を見ると紡錘状ではなくソーセージのように同じ太さで長いモノもあって、ちょっとフンイキが違うなあ…なのである。
う〜ん、最近得意になってしまった早トチリか?と思ったが、確かに海老芋だと言えそうなものもあるのでどうにも納得がゆかなかった。

帰宅してから食材辞典などで調べてみると京芋と海老芋は栽培過程が違うだけで同じもののようであった。
しかしネット上で知った情報の中には別種という記述もあって真偽のほどは判らないが、ボクが推測するには基本が海老芋でソレを長く大きく育てたものが京芋ではなかろうか…ということだ。
まあ何れにしてもその特徴であるキメ細かく滑らかで比較テキにヌメリも少なめ、甘く旨味に富んでいて煮崩れしにくいという部分は変らないので、先ずはスタンダードな煮含めにして食してみることにした。

厚削りのカツヲ節と昆布でダシをとり、塩分少なめはんなりな煮汁を作る。ボクは高血圧ではないのでそのために低塩分にするワケではなく、イモの旨みと香りを大切にしたいが故のレシピだ。当然酒やみりんの量も控え、醤油はヒガシマル淡口醤油を使い念を入れた。
オカゲでちいっとばかし料亭のエッセンスを感ずるような含め煮が出来上った。
おぉ〜確かに美味い♪
ほっくりとネットリがびみょ〜にバランスしていてなんとも表現しにくいが、サスガに京料理によく用いられるお味と食感はマッタリというコトバがピタリと決まるのね。
京芋は宮崎県が主な産地のようで、やはり温暖な気候風土が南方原産のサトイモ類を育む上で有利に働くのかも知れない。ボクが購入した商品は地元・富士宮の二又地区で生産されたもので、そういえば道祖神の巡り歩きをよくしていた晩夏のころに大きなサトイモの葉が畑に並んでいたなぁ…と思い出してしまった。残暑のギラギラ太陽にエネルギーを貰って育っていた京芋は、こうして寒い時期にようやく我々の元に届くのである。
たいへん結構なお味の芋だしお値段も安いので、コレはぜひまた購入に走りたい。『いも棒』もいいが棒鱈は非常に高価なので実現は困難だろうなあ… その前に『京芋の揚げだしあんかけ』などといった庶民テキ料理でこの美味しさを堪能しようではないか、とムフフな計画をしているのである。




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あ〜あ…こんなんなっちゃって



January 18. 2011.